研究課題
若手研究
申請者らがRandom-Gene Trap法を用いて新規に同定したlncRNA「Caren」は心筋細胞の細胞質に局在し、複数の因子を標的として多彩な作用を発揮することが確認されている。そのため、Carenの作用機序解明により、これまで報告のないlncRNAの新規作用機序を見出すことが期待される。さらに、申請者はCarenの欠失が心不全増悪を招き、補充により心保護作用を示すことを見出している。そのため、医学応用の観点から、本申請研究で得られる研究結果はlncRNAを介した「DNA損傷応答」の軽減および「ミトコンドリア機能維持・改善」による新規の心不全治療法開発へつながることが期待される。
本研究では、申請者が新規に同定したlong non-coding RNA Caren (cardiomyocyte-enriched noncoding transcript)の心臓保護作用のメカニズム解明を目指して解析を行った。Carenは、心筋細胞の細胞質に高発現し、「Hint1-ATM経路の制御によるDNA損傷応答の軽減」、「Tfam増加を介したミトコンドリア生合成の亢進」、により心臓保護作用を示すことを明らかにした。さらに、Carenのヒトホモログ(hCAREN)の同定に成功し、hCARENを過剰発現させたマウスも、抗心不全作用を示すことを明らかにした。
超高齢化社会を反映して心不全患者は増加の一途を辿っている。心不全は悪性腫瘍と同程度に予後の悪い病態であり、健康寿命延伸の阻害要因としても重要である。近年、心不全病態の進展要因として、「ミトコンドリア機能の低下」による、心臓のエネルギー供給の減少とDNA損傷を引き起こす活性酸素種の産生の増加が注目されている。申請者が新規に同定したlong non-coding RNA Carenは、「ミトコンドリア生合成の亢進」と「DNA損傷応答の軽減」により、心臓保護作用を示すことを明らかにした。今後、本研究の成果・進展により革新的な心不全治療法の開発につながることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (4件)
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