研究課題/領域番号 |
21K16119
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
羽間 大祐 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30894604)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肺がん / 免疫チェックポイント / SIRPα / CD47 / 特殊環状ペプチド / 環状ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
細胞間シグナルCD47-SIRPα系は、腫瘍細胞の生体からの排除を抑制する免疫チェックポイントとして機能する。申請者らは、マウスSIRPαに特異的に結合してCD47-SIRPα系を阻害する特殊環状ペプチド(以下、本ペプチドと呼ぶ)を開発し、本ペプチドは腫瘍特異抗体を介したマクロファージの貪食作用を促進し、腫瘍特異抗体による抗腫瘍効果の増強作用を示した。そこで本研究では、本ペプチドが免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を増強するのかを評価するとともに、本ペプチドの経静脈投与だけでなく吸入投与でも同様の効果が得られるかを検討する。
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研究実績の概要 |
CD47とSignal regulatory protein α(SIRPα)で形成される細胞間シグナルCD47-SIRPα系は、腫瘍細胞の生体からの排除を抑制する免疫チェックポイントとして機能する。そのため、マウスSIRPαに特異的に結合してCD47-SIRPα系を阻害する特殊環状ペプチドを開発した。本ペプチドは、腫瘍特異抗体を介したマクロファージの貪食作用を促進し、腫瘍特異抗体による抗腫瘍効果の増強作用を示した。そこで本研究では、本ペプチドが免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の抗腫瘍効果を増強するのかを評価するとともに、本ペプチドの経静脈投与だけでなく吸入投与でも同様の効果が得られるかを検討する。本ペプチドとICIの併用で優れた治療効果を示すことができれば、今後ヒトSIRPαを標的とした特殊環状ペプチドを開発することにより、安価で副作用の少ない新たなICIが得られる可能性がある。 2022年度は、肺がん細胞に対するPD-L1抗体への、SIRPα阻害薬の上乗せ効果に関する実験を行った。すなわち、マウスの骨髄由来マクロファージおよびLLCで4時間培養し、PD-L1抗体、MY-1(SIRPα阻害薬) の有無で4群に分けた。4時間の培養後、FACSで貪食率を調べた。しかし、PD-L1抗体、SIRPα抗体の有無にかかわらず、マクロファージはLLCを貪食しなかった。そこで、インターフェロンγ(10ng/mlおよび100ng/ml)とLLCを48時間、あるいは72時間培養することで、インターフェロンγ 100ng/ml で72時間培養した後が、最もPD-L1の発現率が高いことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インターフェロンγの投与なしに、マウスの骨髄由来マクロファージ 1*10の5乗個およびCFSEでラベルしたLLC(マウス由来肺癌細胞) 4*10の5乗個で4時間培養し、PD-L1抗体(10ng/ml)、MY-1(SIRPα阻害薬) (10ng/ml)の有無で4群に分ける。4時間の培養後、CD16/32 blocking抗体でブロッキングし、F4/80で染色し、FACSで貪食率を調べた結果、PD-L1抗体、SIRPα抗体の有無にかかわらず、マクロファージはLLCを貪食しなかった(貪食率は、どの群でも数%以下の結果)。原因として、LLC自体のPD-L1発現率に問題があると考え、インターフェロンγと他の腫瘍細胞を培養することで、PD-L1の発現率が上昇するという既報から、インターフェロンγ(10ng/mlおよび100ng/ml)とLLCを48時間、あるいは72時間培養することでLLCのPD-L1の発現率が上昇するか、実験を行った。具体的には、LLC 1*10の5乗個とインターフェロンγなし、10ng/ml、100ng/mlで48時間または72時間培養し、CD16/32抗体でブロッキングした後、PD-L1抗体、引き続き蛍光抗体(Alexa647)で染色し、FACSでPD-L1の発現率を調べた。その結果、インターフェロンγ 100ng/ml で72時間培養した後が、最もPD-L1の発現率が高いことが確認できた。この実験の条件検討に複数月費やしたため、実験にやや遅れが生じたが、術者が動物の扱いや実験器具の使用法、実験装置の使用法を習熟できたため、2023年度で後れを十分に取り返せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究に従事する大学院生を増やして研究を進めていく予定である。 まず、インターフェロンγで培養し、PD-L1を発現させたLLC細胞を用いた、上述の貪食実験を予定している。また、同様にマウス由来の商用細胞であるCMT 167を用いて同様の実験を行う。それに引き続いて、マウスSIRPαに特異的に結合してCD47-SIRPα系を阻害する特殊環状ペプチドを投与し、免疫チェックポイント阻害剤ののADCP活性増強能を評価する。 次に、血行性肺転移モデルを用いて、ペプチド製剤の腫瘍増殖抑制試験を行うが、ペプチドのデリバリーとして経静脈投与のほか、経気道投与も行い、最適な投与経路を合わせて検証する。具体的には、C57BL/6マウスにLL/2細胞を経静脈的に移植した血行性肺転移モデルを作成し、抗PD-L1抗体あるいは抗CTLA-4抗体の腹腔内投与と本ペプチドの2つの投与経路からの投与を行い、実験終了後のマウスの肺切片と生存曲線から抗腫瘍効果を評価する。 さらに、肺がん自然発症モデルを用いた、経気道投与によるペプチド製剤の腫瘍増殖抑制試験を行う。この計では、当科で系統維持を行っているLSL-Krasマウス(LoxP-STOP-LoxP-K-RasG12V)にCre発現アデノウイルスを感染させることにより得られる肺がん自然発症モデルマウスを用いて、本ペプチド吸入の抗腫瘍効果増強作用について評価する。 そして最後に、薬物動態実験として、液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置を用いて本ペプチドの血中および腫瘍内濃度を測定し、半減期を算出する。また、本ペプチド吸入の安全性を評価するために、C57BL/6マウスに本ペプチドを吸入させた後に採血を行い、血液学的及び血液生化学的解析を行う。
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