研究課題/領域番号 |
21K16187
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕紀 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (10897466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脂質代謝 / LPL / 中性脂肪 / 慢性腎臓病 / 脂質異常 / 脂肪毒性 |
研究開始時の研究の概要 |
インスリン抵抗性に関わる腎障害のリスク因子に関しては、これまでに、高血糖や高血圧など、腎臓に対して大きな影響を与える因子も同定され、そのリスクに対する治療介入が腎予後改善に関わることも明らかとされている。しかし、このような治療介入が行われているにもかかわらず、年齢とともに腎硬化症が進み、腎不全に至る症例が徐々に増加していることも事実である。本研究では、他のリスクとして知られている脂質異常に着目し、多種にわたる遺伝子改変マウスモデルを用い脂質異常と腎障害の関与を検証することで、脂質代謝制御を介した新規腎臓病治療標的を探索する。
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研究実績の概要 |
リポプロテインリパーゼ(LPL)は血管内皮細胞に発現する中性脂肪加水分解酵素であり、組織への脂肪酸供給に寄与している。インスリン抵抗性はLPLの不活性化につながり高中性脂肪血症をもたらすが、この高中性脂肪血症が腎機能に与える影響は明らかにされていない。また、腎近位尿細管上皮細胞のATP産生はその大部分が脂肪酸酸化に寄ることが知られており、LPL活性の低下は腎障害の発症に寄与しうるものと考えられるが、実際のところは不明である。そこで本研究では、後天的な全身性LPL欠損マウスおよび腎近位尿細管上皮細胞特異的LPL欠損マウスを作成し、腎臓への影響を検討した。タモキシフェン誘導性全身性LPL欠損マウスを用いた検討において、LPL-/-マウス群はLPLf/fマウス群と比較して血清中の中性脂肪濃度・総コレステロール濃度・遊離脂肪酸濃度が有意に高値であったが、腎臓を含め臓器障害は認められなかった。LPL-/-マウス群とLPLf/fマウス群に慢性腎臓病を誘発したが、尿量・血漿シスタチンC濃度の有意な差を認めなかった。また、タモキシフェン誘導性腎近位尿細管上皮細胞特異的LPL欠損マウスを用いた検討においても、PTEC-LPL-/-マウス群とLPLf/fマウス群の間に有意な腎機能の差を認めなかった。以上より、全身性または腎局所のリポプロテインリパーゼ欠損が腎生理および腎疾患に対して与える影響は限定的である可能性が示されている。 また、腎硬化症に対するLPL活性が制御する脂質代謝の影響を検討するため、新たな腎硬化症による慢性腎臓病モデルを世界で初めて確立した。
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