研究課題/領域番号 |
21K16199
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
角谷 裕之 川崎医科大学, 腎臓・高血圧内科学, 講師 (70509265)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | glycocalyx / 内皮機能障害 / CD44 / ヒアルロン酸 / 糖尿病性腎臓病 |
研究開始時の研究の概要 |
内皮機能障害は慢性腎臓病の基盤病態である。内皮障害に伴い糸球体内皮細胞表層に存在するGlycocalyxの減少(プロテオグリカンやグリコプロテイン) が腎症進展に寄与するが報告されている。すなわちGlycocalyxの恒常性維持により腎障害進展抑制が可能となる。 「糖尿病性腎臓病 (DKD) では、糸球体内皮Glycocalyxの恒常性の破綻 (質的・量的異常) により、ヒアルロン酸が過剰に蓄積した結果、CD44陽性白血球の糸球体内皮へのホーミングが増加し局所に炎症を惹起し腎症が進展する」との仮説証明を通してDKDの治療戦略立案に資する。
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研究実績の概要 |
アルブミン尿が糖尿病性腎臓病(DKD)の早期病態であり、糸球体内皮Glycocalyxの恒常性の破綻がアルブミン尿出現に関与している。「糖尿病性腎臓病では、糸球体内皮Glycocalyxの恒常性の破綻 (質的・量的異常) により、ヒアルロン酸(HA)が過剰に蓄積した結果、CD44陽性白血球の糸球体内皮へのホーミングが増加し局所に炎症を惹起し腎症が進展する」との仮説証明を通してDKD治療戦略立案に資することが本研究の目的である。DKDにおける糸球体内皮HA-CD44陽性白血球の相互作用を検討する。 まず、循環血中のCD44陽性Leukocyteが糖尿病進展に伴い、腎糸球体内においてホーミング数が増加していることを生体in vivo imagingにて確認した。また、一部のCD44陽性Leukocyteは、糸球体内皮細胞上をローリングしていることを観察することに成功した。このCD44陽性Leukocyteは単球なのか、リンパ球(Tリンパ球)なのかどうか、その詳細をFACSにて検討中である。また、CD44のリガンドであるヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンの二糖の繰り返しからなる糖鎖であり、その評価を免疫染色等で確認中である。現在のところ、糖尿病状態における腎糸球体においてヒアルロン酸が蓄積していることを証明することができていない。 また、機序については、培養ヒト糸球体内皮細胞を用いて検討した。いくつかの刺激を行った結果、LPS+TNFα刺激下において、ヒアルロン酸の分解酵素であるhyaluronidaseの蛋白発現量が有意に低下していた。そのため、hyaluronidaseの発現量低下が、病態進展に関与している可能性があるが、現在、再現性含め検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、糖尿病状態の腎糸球体glycocalyxの主要な構成因子の1つであるヒアルロン酸が腎症進展に伴い蓄積していく仮説を立てていたが、実際には顕著な蓄積は認めなかった(免疫染色のみの評価になる)。しかしながら、ヒアルロン酸をリガンドとするCD44陽性Leukocyteのホーミング数は糖尿病状態で増加しているため、CD44陽性Leukocyteがアルブミン尿出現に関与している可能性はある。CD44のgain of function or loss of functionの検討を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、CD44陽性Leukocyteと糸球体内皮glycocalyxとの相互作用について検討を行っていく予定である。
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