研究課題/領域番号 |
21K16206
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
宇都宮 慧 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (20792104)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | デルモカイン / 悪性黒色腫 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性黒色腫の治療面における問題点として、BRAF阻害剤では薬剤耐性の獲得、抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤では特有な副作用の出現、長期的な寛解率が低いことが挙げられる。新規治療法の探索が喫緊の課題であり、本検討では申請者らが角化異常症や炎症性皮膚疾患において検討を進めてきた上皮細胞の分化と抗炎症作用を併せ持つ分泌蛋白dermokine (DMKN)に着目した。DMKNは黒色腫の病態において細胞増殖能や腫瘍免疫、上皮間葉転換を介して増殖、転移に関与していると考えられ、本研究ではさらに詳細なメカニズムを解明する。
|
研究成果の概要 |
悪性黒色腫は皮膚腫瘍の中でも悪性度が高く、予後が極めて悪い皮膚疾患の1つである。今回、我々は臨床研究と基礎研究から、Dermokine(DMKN)が悪性黒色腫に及ぼす影響について研究を行った。臨床研究の結果、悪性黒色腫患者の血清中DMKN濃度は一般的に総じて低く、黒色腫の重症度、病勢、治療反応性を反映するバイオマーカーとしての有用性を示さなかった。しかし、DMKN欠損マウスを使用した研究で、皮下にB16F10悪性黒色腫細胞株を接種し、野生型と比較した結果、CD206陽性細胞の腫瘍組織内浸潤細胞数が減っていた。DMKN蛋白質が、腫瘍免疫になんらかの影響を与えている可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
悪性黒色腫は皮膚腫瘍の中でも悪性度が高く、本邦で新たに診断される人数は、高齢になるにつれて罹患率は高くなる。今後、高齢化が進むにあたり罹患者数は増加することが容易に推測できる。また、BRAF阻害剤では薬耐性の獲得が問題となっており、抗PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体などの免疫チェックポイント阻害剤による治療でも長期的な寛解率は10-30%に留まっている。今回、我々は、独自に作成した2種類のDMKN欠損マウスを使用して、世界で初めて、悪性黒色腫の増殖抑制のメカニズム解明に挑んだ。本課題は、DMKNをより詳細に解明することで、悪性黒色腫の治療薬の開発にブレークスルーをもたらす可能性を有している。
|