研究課題/領域番号 |
21K16210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 雄大 京都大学, 医学研究科, 助教 (70890622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 皮膚がん / クローン進化 / がん / 皮膚 / 老化 / 発がん |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚ケラチノサイトのクローン拡大の全容はいまだ明らかでない。ヒト皮膚サンプルの体細胞変異の解析を行い、皮膚における遺伝的再構築の全体像を明らかにする。また、慢性疾患や環境暴露の程度の異なるサンプルを解析し、環境因子や加齢が表皮の遺伝的再構築に与える影響を解明する。正常組織と皮膚がんの変異プロファイルを比較し、正常組織から発がんに至る軌跡を明らかにする。それらの知見をもとに、多細胞生物における加齢、発がんの理解を深めることを目的とする。
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研究実績の概要 |
慢性炎症性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎・乾癬患者の表皮ケラチノサイトのクローン進化を正常皮膚と比較することを目的とした。微小サンプル、レーザーマイクロダイセクション、単細胞由来コロニーの3つの方法で表皮ケラチノサイトの体細胞変異を解析した。 微小サンプル、レーザーマイクロダイセクションの解析では、正常皮膚ではケラチノサイトのクローンは皮膚の幅に換算して50um以下であり、最小のものは10um以下であった。したがって自己複製できる表皮ケラチノサイトが単一の細胞として存在していることが示唆された。一方、炎症性皮膚疾患では皮膚の幅に換算して100umを占めるクローンが多発しており、慢性炎症性皮膚疾患において表皮ケラチノサイトのクローン拡大が進んでいることが示された。正常皮膚・皮膚有棘細胞がんで報告のあるドライバー変異の陽性選択が検出された。アトピー性皮膚炎におけるクローン拡大はドライバー変異を伴っていない一方、乾癬はドライバー変異の頻度が高かった。慢性炎症性皮膚疾患の存在が表皮ケラチノサイトの選択を変容させていることが示唆された。 単細胞由来コロニーの解析で、慢性的な日光暴露のない正常皮膚では加齢に伴い一定速度(エクソームで0.21変異/年、全ゲノムで18変異/年)で変異が蓄積することを決定した。日光暴露した正常皮膚・一部の炎症性皮膚疾患では年齢に不相応な高い変異数を示した。それらはほとんどが紫外線由来の変異シグネチャーの蓄積で説明された。炎症性皮膚疾患由来のコロニーの大半は、正常皮膚と同程度の変異数を示した。 慢性炎症性皮膚疾患が皮膚ケラチノサイトのクローン拡大を促進し、特に乾癬ではがんドライバーを有するクローン拡大を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文作成に足るデータ量を蓄積できたため、投稿を準備している
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今後の研究の推進方策 |
本研究では表皮ケラチノサイトに焦点を絞った。しかし、アトピー性皮膚炎、乾癬の組織にはリンパ球の浸潤が顕著で、表皮とリンパ球間の相互作用が病態に中心的であることはよく知られている。したがって、表皮ケラチノサイトのみならず、リンパ球を代表とする皮膚を形作る他の細胞腫にクローン進化の研究を広げていくことを予定している。
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