研究実績の概要 |
我々は、炎症性皮膚患者の皮膚病変部における抗原提示細胞分画の特徴を明らかにするために、1細胞RNAシークエンスを行った。フローサイトメトリー解析と1細胞RNAシークエンス解析を組み合わせ、ヒト皮膚樹状細胞をDC1(CD141+, XCR1+), DC2(CD1C+, CD14-), DC3(CD1C+, CD14+, CD88-), 活性化DC (LAMP3+, BIRC3+)の4つの集団に、マクロファージをCCR1陽性、MARCO陽性、TREM2陽性マクロファージの3つの集団に分類した。新たな分類図にはDC3、活性化DCといった他臓器において報告されていた新たな樹状細胞分画を含んでいた。 活性化DCはアトピー性皮膚炎と尋常性乾癬皮膚のどちらの皮膚においても増加しており、CD86などの共刺激分子、PDL1などの抑制性分子、CCR7などの移動にかかわる分子、IL-15などのサイトカインが他の抗原提示細胞と比べ高発現していた。 免疫染色においても活性化DCの増加、IL-15発現ともにアトピー性皮膚炎と尋常性乾癬皮膚で増加しており、IL-15産生細胞の殆どはmregDCであった。IL-15は皮膚炎の発症において重要であるとの報告があり、炎症性皮膚疾患の新たな形成機序を明らかにすることができた。 次にDC3の数を炎症性疾患で比べてみたところ、乾癬でのみ増加しており、アトピー性皮膚炎では増加していなかった。一方、血中のDC3はアトピー性皮膚炎と乾癬では差がなかった。DC3は乾癬の皮疹部において乾癬を悪化させるIL-1β、IL-23を産生しており、乾癬の病態に重要な樹状細胞であることを発見した。
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