研究課題/領域番号 |
21K16236
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中村 善雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20528244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 乳房外パジェット病 / 組織透明化 / 浸潤 / 立体構造 / 皮膚病理 / 三次元 |
研究開始時の研究の概要 |
組織透明化は、ヒトの皮膚組織を一塊の状態、且つ個々の細胞の位置情報と抗原性を保持したままの状態で立体的に解析することが期待できる手法であり、これまでに行われていた二次元標本の連続切片を3次元化する等の手法では得難かった組織の微細な構築を解析できる可能性がある。本研究ではCUBIC法を元にした透明化検体で、腫瘍細胞及び皮膚を構成する正常細胞の抗原性が保持されているのか免疫組織化学染色により検討し、これらの細胞の局在性が一連の過程を経ても安定的に解析可能となる至適条件を決定し、乳房外Paget病の進展様式、浸潤様式、抗腫瘍免疫の動態について解析を行う。
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研究成果の概要 |
複数の乳房外パジェット病(EMPD)の原発巣の検体を組織透明化法の技術を用いて、Paget細胞の増殖様式や真皮内への浸潤、周囲の免疫細胞の分布を解析を試みた。EMPDでは腫瘍が飛石状に分布することがあるが、腫瘍辺縁では小さな腫瘍胞巣がスキップして分布している様子が観察された。解像度、透明化に要する時間に関する問題が残っており、今後解決が必要である。本研究に関連して、EMPDの疾患進行とアンドロゲン受容体発現との関連を明らかにした。また、EMPDの間質浸潤に伴い統計学的に優位に失活するペプチドAおよびペプチドBを明らかにし、現在研究内容について論文投稿中である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
皮膚病理組織において組織透明化を用いた研究開発は進んでおらず、組織透明化による病理の三次元構造の観察が明らかになることで病理組織の包括的な断端評価や腫瘍の分布、さらには腫瘍を取り巻く微小環境が明らかになる。これが簡便に行えれば病理診断にも実用化できる可能性が期待できるという意味で学術的・社会的意義は大きいものと考えられる。乳房外パジェット病(EMPD)の浸潤、進展様式は明らかになっておらず、これらに関わる分子生物学的な機序が明らかになることで、治療標的となりうる可能性がある。希少がんであるEMPDの治療開発は企業主体では進みにくい現状があり、アカデミアが治療標的候補を見出す意義も大きい。
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