研究課題/領域番号 |
21K16243
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸田 淳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90770834)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | MPN / STAP蛋白 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄増殖性疾患(MPN)は造血幹細胞レベルの腫瘍化によって発症する疾患である。最近、申請者はSignal transducing adaptor protein (STAP) -1が、アダプター蛋白として炎症系シグナルを介し、STAT5のリン酸化を制御することでCML幹細胞の生存に関わっていることを報告した。本研究ではCML以外のBCR-ABL陰性MPNに焦点を絞り、STAP蛋白がMPNの病態に及ぼす影響とそのメカニズムの解明を目的とした。この検討により、MPN幹細胞を標的とした薬剤開発などの臨床応用への発展の土台を作ることが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
STAPファミリー分子がCML以外の白血病幹細胞の維持にも共通して必要な分子であるかをMPNモデルマウスや患者検体を用いて実臨床に近い検討を行い、MPN幹細胞をターゲットとした治療への基盤を築くことを目的としている。 まず、JAK2V617F knock-in mouseのBMをWT(B6J)マウスに移植するBMTモデルの作成を行い、MPNのフェノタイプが得られることを確認した。 次に、WT(B6J)マウス、JAK2TGマウス、JAK2TG/STAP2KOマウスの骨髄細胞を放射線照射マウス(B6ly5.1)に移植を行った。 WTを移植したマウスに比べ、他の2つのマウスではMPNの表現型を認めていた。その二つを比較すると、JAK2TG/STAP2KOを移植したマウスではJAK2TGを移植したマウスに比べ、白血球数が多く、貧血、血小板減少の程度が強い傾向がみられた。JAK2TG/STAP2KOにおいて、LK分画の細胞の増加を認めた。STAP-2KOによりMPNの進行が促進されている可能性が示唆された。 STAP-1に関しても上記と同様の実験を行い、JAK2TG/STAP1KOマウスの作成を行ったが、末梢血、骨髄細胞、脾臓細胞において、特に有意な差は認められなかった。CMLではSTAP-1が幹細胞で機能的な役割を担っていることが分かっているが、MPNに関しては、幹細胞分画においても異常を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通りの実験結果あり。現在までの進捗状況としては、STAPファミリー分子がMPNにおいても重要な役割を担っている可能性が示唆されてはいるが、STAP-1については有意な差は認められなかったという結果が得られている。STAP-1とSTAP-2、それぞれでの役割を確認している状況である。この違いはSTAP-1、STAP-2のそれぞれの機能、役割の違いであると考えられ、今後はその違いに焦点をあてた、解析が必要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
①STAPファミリー分子の詳細な機能解析 今回の実験では、STAP-2がMPN幹細胞の維持に関与していることが示唆されたが、STAP-2が具体的にどのような機能を持ち、どのようなシグナル伝達経路に関与しているのかについては不明な点が残されている。今後は、STAPファミリー分子の詳細な機能解析を行い、それらがどのようにMPN幹細胞を制御しているのかを解明することが重要と考えられる。 ②STAPファミリー分子を標的とした治療法の開発 STAP-2がMPN幹細胞の維持に関与していることが示唆されたことから、STAPファミリー分子を標的とした治療法の開発が期待される。これまでの研究では、JAK2阻害剤がMPN治療に有効であることが示されているが、STAPファミリー分子を標的とした治療法の開発によって、より効果的かつ安全な治療法が開発できる可能性がある。 ③STAPファミリー分子と他のシグナル伝達経路の相互作用の解明 STAPファミリー分子がどのようにMPN幹細胞を制御しているのかについては、まだ解明されていない点が多い。そこで、STAPファミリー分子と他のシグナル伝達経路の相互作用についても解明することが重要となる。特に、これまでの知見から、JAK2やSTAT5などのシグナル伝達経路との相互作用については注目すべき点であり、その相互作用を理解することによって、より効果的な治療法の開発が期待できると考えられる。
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