研究課題/領域番号 |
21K16285
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 英輝 京都大学, 医学研究科, 助教 (50894755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / 抗DNA抗体 / 自己抗体 / B細胞 / HLA / DNA / 自己免疫疾患 / 主要組織適合遺伝子複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
抗DNA抗体はSLEの発症に関わる重要な自己抗体である。特定のHLAクラスII分子はSLEの疾患感受性と関連するため、抗DNA抗体の産生にHLAクラスII分子の関与を考えた。遺伝子導入細胞を用いてHLAクラスII分子とDNAの結合性、およびHLAクラス分子によるDNAの提示能とその病原性を解析する。レポーター遺伝子を導入した細胞を用いて、HLAクラスII分子/DNA複合体によるB細胞受容体の反応を解析する。HLAクラスII分子/DNA複合体をマウスに免疫し、抗DNA抗体の誘導を試みる。本研究により抗DNA抗体産生機序が解明されれば、抗DNA抗体産生制御による新規SLE治療法の創出が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は全身性エリテマトーデス(SLE)に関わるHLAクラスII分子の機能を解析し、抗DNA抗体の産生機序を解明することを目的とする。そのため、①HLAクラスII分子によるDNAの提示能の解析、②HLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性B細胞受容体(BCR)刺激実験、③マウスを用いたDNA/HLAクラスII分子複合体による抗DNA抗体産生実験を計画した。 HLAクラスII分子(HLA-DR15)発現細胞とゲノムDNAと共培養したところ、細胞表面のHLA-DR15とDNAの結合が確認された。B16F10細胞でのIFN-刺激下で細胞表面に発現させた内在性のMHCクラスII(H-2b)分子とDNAの結合も確認された。Biotin化DNAをHLAクラスII発現細胞と共培養したlysateをstreptavidinで沈降しWestern-blotしたところ、DNAとHLA-DR15の結合が確認された。さらに、HLA-DR15のペプチド結合溝に特異的に結合するSP3ペプチドを用いたところ、DNAのHLAクラスII分子への結合が競合阻害され、HLAクラスII分子へのDNAの特異性が検証された。HLAクラスII分子各アリルとDNAの結合能がSLEの疾患感受性と関連するかを検討したところ、有意な相関がみとめられた(r=0.64,p=0.017)。DNA応答性BCR発現レポーター細胞を作成した。その細胞を用いて実験②のHLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性BCR刺激実験を行い、B細胞の活性化が確認された。また、Covid19流行のため実験の中断や学会に参加できなかった期間があった。 現在、③マウスを用いたDNA/HLAクラスII分子複合体による抗DNA抗体産生実験を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、2021年度前半(3~6か月間)に実験①(HLAクラスII分子によるDNAの提示能の解析)、2021年度後半/2022年度前半(6~12か月間)に実験②(HLAクラスII分子によって提示されるDNAによるDNA応答性BCR刺激実験)を計画した。Covid19流行のため実験の中断や学会に参加できなかった期間があったが、おおよそ実験を進行することができた。 現在、2022年度/2023年度前半(6~18か月間)に予定している実験③マウスを用いたDNA/HLAクラスII分子複合体による抗DNA抗体産生実験を進行中である。 また、研究を進める過程において、抗DNA抗体の臨床的意義について不明な点が多く、この点についても言及するか検討する必要があることが判明した。 以上より、研究はおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は実験③マウスを用いたDNA/HLAクラスII分子複合体による抗DNA抗体産生実験を進行する。ただし、COVID19流行によって実験の中断を余儀なくされる可能性がある。マウスを用いるため、実験中断になれば、時間、費用面での負担が大きくなると思われる。そのため、研究者、研究室全体の感染予防策が重要と思われる。 また、研究を進める過程において、抗DNA抗体の臨床的意義について不明な点が多いことがわかり、その点についても補助的に調査する必要があることが今後の課題であると考えている。
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