研究課題/領域番号 |
21K16318
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山崎 聖司 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (70757301)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 耐性菌 / 感染症 / 排出ポンプ / 細菌 / 抗生物質 / 抗菌薬 / 薬剤耐性 / 多剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
治療困難な耐性菌への対応は、国を挙げて取り組まなければならない大きな問題となっている。耐性菌を出現させないためには、抗菌薬の適正使用が最も重要であり、速やかに原因菌とその薬剤耐性能に適した薬を用いた治療を行うことが求められている。
よって本研究では、即日での菌種同定と耐性菌検出を可能にする、細菌の迅速分析技術の基盤を構築する。具体的には、多数の遺伝子組み換え菌株を用いて解析技術の開発・条件の最適化を行うことで、臨床で必要とされている迅速な菌種同定・耐性菌検出に向けた、細菌由来放出化合物測定法を構築する。
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研究実績の概要 |
世界各国の医療従事者が直面している細菌が関与する各疾患の克服に向け、細菌薬剤排出ポンプとその生理基質に着目した基礎研究と、新たな検出診断法の開発を行う。具体的には、実際に申請者らの研究から、排出ポンプが薬剤耐性だけでなく病原性・定着性にも深く関与し、細菌と精神疾患・生活習慣病・がん等との関連も明らかになりつつあるため、菌体外に排出され様々な病気を引き起こす細菌の重要な生理活性化合物を同定し、各疾患との関係について明らかにする。さらに、得られた情報を活用して、申請者によって開発済みの耐性菌検出用ナノデバイスを応用した、発症リスク早期検出診断法の確立まで行う。
今年度は、昨年度得られた、機械学習を用いた電流シグナル形状の分類により3種の細菌種を同定することに成功した成果について、論文投稿に向けた修正作業を進めた。また、抗生物質や生理活性化合物等を菌体外に排出する機能を持つ細菌薬剤排出ポンプに関して、薬剤耐性緑膿菌に存在する共通の変異を複数発見し、迅速な耐性菌判定手法の開発に繋がる成果として、論文を投稿することができた。別のタンパク質においても、同様の傾向がみられることが明らかになりつつあり、今後も解析を継続する。
早期に菌種の同定および耐性菌の検出ができれば、不要な抗菌薬投与を減らすことができ、細菌感染症による死亡者数を減らせるだけでなく、新たな耐性菌出現の抑制、医療費の削減にも大きく貢献することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今後の新規創薬、迅速な耐性菌判定手法の実用化において重要となる、薬剤耐性緑膿菌における共通の変異を見つけることができたため。特に多くの菌株で見られた3つの点変異は、アミノ酸変異を伴わず(サイレント変異)、codon usageは元のコドンと比較して高くなっていることが判明し、アミノ酸変異を伴わない点変異(サイレント変異)による新たな薬剤耐性化メカニズムの解明、および迅速な耐性菌判定手法の実用化に大きく貢献できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
アミノ酸変異を伴わない点変異(サイレント変異)による新たな薬剤耐性化メカニズムの解明に向け、別のタンパク質や、別種の細菌を用いた実験を開始する。
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