研究課題/領域番号 |
21K16429
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
松尾 泰子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (10812315)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大腸癌肝転移 / CD200 / 腫瘍免疫 / 癌幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
T細胞不活化経路阻害は抗腫瘍効果を有することが知られている.PD-1/PD-L1経路阻害は臨床応用されているが,CD200/CD200R経路も最近注目されている.これまでの研究において,大腸癌肝転移におけるCD200発現が腫瘍免疫を抑制し予後を悪化させることを証明した.一方で,CD200は癌幹細胞マーカーとしても認識されており,腫瘍の治療抵抗性獲得に関わる可能性もある.本研究では,大腸癌肝転移における,CD200を介した治療抵抗性獲得のメカニズムを解明し,腫瘍免疫の活性化と癌幹細胞の治療抵抗性克服を目指した,より根治度の高い新規治療の開発を目標とする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は大腸癌肝転移における薬物治療耐性獲得のメカニズムを検証することである.近年の報告では,大腸癌肝転移における周術期の化学療法が予後に寄与しないという研究結果も報告されている.薬物治療は大腸癌肝転移治療において非常に重要な治療法の一つであるが,症例によっては不要な薬物治療が薬剤耐性を生んでいる可能性もある.そのため,耐性獲得のメカニズムを解明し克服することが予後向上には重要と考えられる.今回,薬物耐性獲得の要因となる分子の一つとして,CD200に着目し研究を開始している.CD200は多くの癌種で発現が認められ,免疫チェックポイント分子としての働きに着目した報告が多い.しかしながら,癌幹細胞としての発現も報告がある.今回の研究では,まずはCD200発現が大腸癌肝転移においても癌幹細胞として発現しているか,続いてCD200が薬物治療で誘導され治療抵抗性に関わるのかについて検証する.これまでの検討で,CD200高発現群は低発現群と比較して予後不良であることを証明した.これには免疫学的な要因(CD200高発現群で腫瘍免疫が抑制されている)があることも証明している.今回,化学療法とCD200発現の関連に着目すると,術前化学療法群ではCD200発現は約30%であるのに対し,高発現群では約50%と発現率が高かった.また,化学療法非施行例ではCD200発現と予後に関連がないのに対し,化学療法後にCD200高発現である症例では有意に予後不良であった.CD200発現が化学療法により誘導され,治療抵抗性を獲得する要因となっている可能性が示唆された.これらの結果をもたらす背景に関して,検証を進める必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床データの集積,大腸癌肝転移におけるCD200発現について検討をすすめているが,癌幹細胞との関連やin vivoでの実験については検証が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
CD200が化学療法により誘導される過程を,in vivoの実験を経て検証していく予定である.
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