研究課題/領域番号 |
21K16432
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
金丸 理人 自治医科大学, 医学部, 助教 (10625544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / 免疫療法 / ケモタキシス / 細胞障害性T細胞 / CXCL-11 / 細胞運動 / 免疫チェックポイント阻害 / がん免疫療法 / 免疫チェックポイント分子 / ケモカイン |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント(IC)阻害療法の治療効果はがん微小環境内のエフェクターT細胞の浸潤度に強く依存する。がん組織内には好中球が多く存在し一部はNETsを産生している事実が報告されているが、T細胞の浸潤やIC阻害療法の奏効との関連性は不明である。そこで、NETsを豊富に産生する担癌マウスモデルを用いて、抗PD-1抗体投与を行い、NETsの有無による治療効果の相違を検証するとともにその免疫学的機序を明らかにすることで、新たながん免疫療法の開発に繋げる。
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研究成果の概要 |
In vitro の実験にて、好中球をLPSで刺激し作成したNETsはセリンプロテアーゼを介してCXCL11を効率よく分解し、活性化Tリンパ球の浸潤を抑制した。 ヒト卵巣癌切除標本の免疫染色にて、CD66b(+)Cit-H3(+) 細胞をNETsとして同定すると、その密度は進行期でより高く、CD4(+)、CD8(+) T細胞の密度と逆相関した。術後の無増悪生存率はNETs高値群で有意に悪く、多変量解析にてNETs高値群は独立した予後予測因子であった。 固形腫瘍内のNETsはケモカインを効率よく分解し、活性化Tリンパ球の浸潤を抑制することを介してがんの進行を促進する可能性があることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
好中球が固形癌の進行に対して促進的な役割を果たすことは古くから指摘されているが、その機序は十分に解明されていない。本研究で、活性化好中球由来のNETsがケモカインを分解し、活性化Tリンパ球の浸潤を抑制することが判明し、NETsがその一因であることが新たに証明された。また、ヒト卵巣癌切除標本の免疫染色にて、NETsの量が、CD4(+)、CD8(+) T細胞の浸潤度、患者予後と逆相関することから、このメカニズムが実際にヒト癌でも存在する可能性があると考えられた。NETsの阻害が新たながん治療に繋がる可能性が得られたことから、その社会的意義は大きいと考えられる。
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