研究課題/領域番号 |
21K16439
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高橋 裕之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10516503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胆管癌 / 切除断端診断 / 肝外胆管癌 / ゲノム解析 / 胆道癌 |
研究開始時の研究の概要 |
胆道癌術後の再発として肝転移や局所再発が主たる形式ではあるが、遺残胆管の再発(異時多発)も散見され、浸潤癌周辺の肉眼的に正常な胆管のスキップ病変や多中心発癌などの潜在的な病変分布パターンに再発のヒントが隠されている可能性がある。 本研究では、肝外胆管癌の切除材料を用いて切除範囲に含まれる胆道上皮内病変の形態的特徴と分布、遺伝子変異を詳細に解析し、術後再発との関連づけを試みる。さらに、胆道癌の初期発生に迫るため、異型度の低い上皮内病変や付属腺の過形成にも着目する。背景胆管に分布する上皮内病変の分布とclonalityを明らかにすることにより、術後再発や生命予後に有効な指標を得ることを目指す。
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研究成果の概要 |
胆管癌切除検体を用いた今回のターゲットシークエンスでは、何らかの遺伝子変異が91%において検出された。またTP53変異は78%に認められた。腫瘍におけるp53の免疫染色も施行したが、TP53変異とp53染色パターンには高い一致率がみられた。 断端のシークエンス解析では断端陽性症例全例で胆管断端に遺伝子変異が認められ、その遺伝子変異は主腫瘍と一致し、すべてにTP53変異を認めた。断端陰性症例の40%では胆管断端に遺伝子変異が認められ、1例を除き主腫瘍と同じ遺伝子変異であり、2例以外ではTP53変異陽性であった。断端陰性症例の吻合部再発は2例に認められ、いずれも断端に遺伝子変異を認める症例であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胆管癌では胆管炎や胆道ドレナージに伴う再生異型やスキップあるいは多発病変が存在する可能性があり、術中の迅速診断、さらに永久標本をもってしても切除断端の判定に苦慮する場合がある。 本研究では、胆管がんはTP53変異を持つことが多くターゲットシークエンスで検出することができること、断端陰性症例でも、TP53等の変異が検出されることがあり、TP53変異とp53免疫染色は相互によく関連し、断端評価に利用できることが示された。未だ周術期リスクの高い胆管癌根治手術において、根治のための過不足ない手術を施行するための確実な断端診断は必須事項であり、ゲノム情報の付加は正診率向上に寄与する可能性がある。
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