研究課題
若手研究
現在、申請者は大腸癌のうち約15%を占める高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)大腸癌においてTGF-βの発現強度に着目した間質プロファイルにより予後良好群と予後不良群を二分できることを発見している。TGF-βは癌関連線維芽細胞の増殖、血管新生、免疫逃避などに関与することが知られているが、制御性T細胞、腫瘍随伴マクロファージ、骨髄由来免疫抑制細胞といった免疫抑制細胞群との関連は明らかにされていない。本研究の目的は、TMEにおいてTGF-βと関わるあらゆる免疫細胞の局在や機能を網羅的かつ包括的に検証することにより、「個別化-対TME-免疫治療」 を目指すことである。
当研究者らは近年、マイクロサテライト不安定な大腸癌において、TGFβ依存的な癌関連線維芽細胞の活性化を示すサブグループを報告した。本研究では、予後や治療効果(特に免疫チェックポイント阻害剤)の異なる大腸癌サブグループにおける免疫抑制性細胞群の意義に着目した。遺伝子発現解析および免疫組織学的検討により、TGFβによる間質活性化を示す大腸癌は、免疫抑制的なM2マクロファージ浸潤が高度で、免疫チェックポイント分子であるTIM-3が高発現であることを示した。また単球のTGFβ処理やM2マクロファージ分化誘導によりTIM-3発現が亢進することを見出した。大腸癌における抗TIM-3治療の可能性を示した。
本研究では、一部の大腸癌において、免疫チェックポイント分子が高発現すること、またその発現制御においてTGFβが関連する可能性を示した。本研究の結果が将来、大腸癌の微小環境の理解と、個別的な免疫療法の可能性に資するものと考える。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
Cancers
巻: 15 号: 20 ページ: 4943-4943
10.3390/cancers15204943
巻: 15 号: 10 ページ: 2826-2826
10.3390/cancers15102826