研究課題/領域番号 |
21K16575
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
玉田 尚 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (70439181)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ARDS / VILI / regulated necrosis / DAMPs / necroptosis |
研究開始時の研究の概要 |
人工呼吸はARDSの治療に不可欠な一方,肺傷害や遠隔臓器障害を惹起し患者の予後に影響するが,その主因たる炎症への介入効果は限定的である.申請者はARDSモデルで,細胞内からDAMPsを放出し炎症を増幅させる「制御されたネクローシス」が肺胞上皮細胞死に寄与し,人工呼吸で増悪することを明らかにしたが,炎症は感染防御や組織修復も担うため,人工呼吸による障害の予防には炎症が過剰に増幅される悪循環を断つべきと考えた.本研究は人工呼吸によるARDS肺胞上皮細胞死の「制御されたネクローシス」増強から遠隔臓器障害惹起と悪循環形成までの流れを検証し,「制御されたネクローシス」の介入標的としての概念実証を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は人工呼吸によるARDS肺胞上皮細胞死の「制御されたネクローシス」増強から遠隔臓器障害惹起と悪循環形成までの流れを検証したうえで,人工呼吸開始前の「制御されたネクローシス」を標的とした阻害剤が肺と遠隔臓器の障害を抑制するかを検討し,その介入標的としての概念実証を目指した. LPS(25μg)経気管投与24時間後に人工呼吸を6時間施行し,気管支肺胞洗浄液(以下BALF)中の炎症性メディエーターやタンパク濃度の定量を行うことで肺傷害の程度を評価した.人工呼吸は,低容量肺保護換気群(以下PV:1回換気量 10 ml/kg,PEEP 5cmH2O,リクルートメント操作あり)と高容量換気群(以下IV:1回換気量 40 ml/kg,PEEP 0 cmH2O,リクルートメント操作なし)とした. 人工呼吸が肺胞上皮細胞のネクローシスに与える影響をみるためBALF中のCK18フラグメントの定量を行った.全細胞死の指標となるM65はLPS非投与下では,PVとIVで有意な変化はなかったが,LPS投与下では,IVにおいて有意にM65が上昇し,LPSによる傷害を増強させた.一方,アポトーシスの指標となるM30はLPS投与,非投与にかかわらずIVにて有意に上昇した.その結果よりIVはLPS非投与下では,アポトーシスを誘導するが,LPS投与下ではネクローシスを誘導した.IVが元々の肺の状態により,異なった細胞死を誘導することが示唆された. ARDS下のIVによるネクローシスが「制御されたネクローシス」であるかをみるため実行因子のウェスタンブロッティングによる検出を試みているが,予想された実行因子が関与していない可能性が見出されたため,引き続き実行因子の検出を再検しながら,別経路でネクローシスが誘導されていることも視野に入れ,研究を継続中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IVが元々の肺の状態により,異なった細胞死を誘導することが示唆されたため,その原因検索や,「制御されたネクローシス」の検討過程で,別経路の関与が示唆されたため,その同定に関しての実験が遅れているため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き「制御されたネクローシス」の関与をみるため,ウェスタンブロッティングによる実行因子の同定を再検するのみならず,アレイを用いた実験も検討する予定である.また,別経路によるネクローシス誘導の可能性については,それを検討するための実験系を組み立てる予定である.
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