研究課題
若手研究
再発率の高い筋層非浸潤性膀胱癌の診断、治療および経過観察において、膀胱内視鏡における腫瘍病変の見落としは重要な問題である。この一因として経験や技量による医師間の腫瘍の視認能力の差異が挙げられる。本研究では、膀胱内視鏡画像および検査、手術時における術者・助手の医師の視線計測を行い、医師の技量を客観的に評価し、得られた視線データにより、開発を目指している人工知能を利用した膀胱内視鏡検査支援システムに組み込み、腫瘍認識精度向上への効果を検証する。
膀胱癌診療において、膀胱内視鏡検査は必須の処置であるが、実施する医師の知識や経験の差により、その診断精度にばらつきが存在する。本研究では、同一症例の膀胱内視鏡検査の動画を、経験の異なる医師らに観察させ、非接触式モニター用視線追尾・視線計測システムを用いて、その際の医師の観察中の視点座標と停留時間を取得し、評価指標として、視点座標の平均座標を原点とした視線位置に停留時間を乗じた値の平均を算出し、比較した。経験のある専門医は、リアルタイムに画面の広い範囲を効率よく、検査の序盤に観察していることが確認された。観察者の視線の可視化により、技量の評価だけでなく、技量向上にむけた教育的な活用が期待される。
視線計測は、医師の技量を評価しスキルアップのための課題を明らかにできる可能性があることから、消化器領域の手術においての報告例が散見される。泌尿器科領域においても膀胱内視鏡検査や経尿道膀胱腫瘍切除(TURBT)における経験の異なる医師らの視線経路の計測は、術者の技量を客観的に評価することにつながる。先行研究で開発している人工知能(AI)を利用した膀胱内視鏡検査支援システムの学習用の教師データとして、経験豊富な医師の視線という情報を加えることができれば、画像しか学んでいなかった現代のAIを次のステージへと導く可能性がある。結果として、AIのさらなる診断精度の向上と最適化につながると考えられる。
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