研究課題/領域番号 |
21K16757
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荻原 広一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30626677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 尿路上皮癌 / IDH2阻害薬 / 抗癌剤耐性 / シスチントランスポーター / CDDP / GSSG/GSH / 癌幹細胞仮説 / 筋層非浸潤性膀胱癌 / 代謝リプログラミング / CD44v / メタボローム解析 / RNA sequence |
研究開始時の研究の概要 |
当教室で樹立したヒト/マウス膀胱癌薬剤感受性株、耐性株両株においてメタボロミクスコアを用いて水溶性代謝産物の定量解析を行う。癌幹細胞モデルを利用した耐性細胞における嫌気解糖系酵素の発現をmRNA、WBで確認し、特定した標的酵素に対し機能解析を行う。膀胱正所性モデルを使用し、Hif1-α阻害剤による抗腫瘍効果を確認する。組織マイクロアレイを用いて、嫌気解糖酵素群と臨床データ照合による予後解析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、治療抵抗性膀胱癌組織内の癌幹細胞の細胞内代謝ネットワークを明らかにするとともに選択的に有効となる新規治療標的を同定並びに臨床応用に向けた治療戦略を構築する事である。当教室で樹立した2種の膀胱癌細胞株を用いて、本学設置のメタボロミクスコアを用いてメタボローム解析を行った結果、IDH2を軸とした代謝リプログラミング機構の存在が示唆された。IDH2阻害剤を用いたin vivo実験を行い、IDH2阻害薬と既存抗癌剤の併用療法の抗腫瘍効果が高いことを認めた。また、IDH2蛋白は術前化学療法の効果が認められなかったUC検体で強い発現を認めることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究より、難治性UCにおいてIDH2は逆行性TCA回路を駆動し、2-HGの蓄積とHif-1αの安定化を引き起こすことを確認した。またIDH2の機能制御によって、膀胱癌細胞の代謝リプログラミング機構を抑制させることで既存の抗癌剤の感受性回復を期待できる可能性が示唆された。IDH2阻害薬は悪性脳腫瘍や再発性急性骨髄性白血病に一部臨床応用が開始されていることから、難治性UCの治療選択肢の1つになり得ると予想される。
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