研究課題/領域番号 |
21K16775
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
片岡 恒 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 学内講師 (90849027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヘプシジン / 酸化ストレス / 子宮内膜症 / 鉄代謝 / NAD代謝 / 活性酸素種 / LPS / 鉄 / hepcidin / PGC-1a / endometriosis |
研究開始時の研究の概要 |
子宮内膜症の発症機序として、月経血中に含まれる変化した子宮内膜細胞を起源とする逆流説が広く受け入れられている。研究代表者らは月経血中に高濃度の遊離鉄が存在し、さらにhepcidinが細胞内鉄貯留の促進を介して正常子宮内膜細胞に炎症性変化を与え、子宮内膜症の発症に関与する可能性を見出した。また転写共役因子であるPGC-1αがhepcidinを介した細胞内鉄貯留により発現が促進され、hepcidinとPGC-1αの関連性を明らかにした。本研究ではhepcidinによる鉄代謝や調節経路を明らかにすることで、病態進展の制御はもとより発症予防にも寄与する新たな治療・予防戦略の分子基盤を確立させる。
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研究成果の概要 |
子宮内膜症患者の月経血中に高濃度のhepcidinが存在し、hepcidinが鉄を細胞内から細胞外へ排出する唯一の輸送体であるferroportinの膜分布濃度の低下を引き起こし、細胞内の鉄貯留を促進させることを明らかにした。さらに、過剰な細胞内鉄貯留はROSの産生促進からNAD量の相対的な低下を来たし、正常子宮内膜間質細胞だけでなく子宮内膜症病巣の間質細胞にも炎症性変化をもたらすことから、子宮内膜症の発症や病態進展に深く関わっている可能性を見出した。また細菌性エンドトキシンであるLPSがその発症や病態形成に重要な役割を果たしており、抗酸化剤の投与によって抑制されることも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子宮内膜症の治療は専ら外科的治療とホルモン治療が行われてきたが、妊孕性の温存や副作用の回避のために新たな治療戦略の確立が望まれている。われわれは鉄代謝と酸化ストレスの観点から子宮内膜症の発症と病態進展に新たな知見を見出した。特に子宮内膜症を引き起こす細胞内に過剰の鉄が貯留することにより、細胞内の酸化ストレスが上昇、その細胞に炎症性変化を引き起こすことが明らかとなった。これらの分子学的機構については新たな治療ターゲットとして有用であると考えられ、さらなる研究を継続している。
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