研究課題/領域番号 |
21K16789
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 康将 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (90885550)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | シングルセルRNAシーケンス / 卵巣癌 / 一細胞解析 / 空間的トランスクリプト―ム解析 / 子宮平滑筋肉腫 / 内膜症関連卵巣癌 / シングルセルシーケンス |
研究開始時の研究の概要 |
がん微小環境における多様性は、がんの進展に大きく関与している。近年、空間的トランスクリプトームおよびシングルセルトランスクリプトーム解析により、微小環境を高解像度で捉えることが可能になった。本研究では、子宮内膜症より生じる卵巣明細胞がんや類内膜がんを対象とし、がん組織とそれに連続する非がん部内膜症性嚢胞組織に対してこれらの解析を行う。これにより、双方の組織を構成する上皮系細胞および間質細胞の細胞集団レベルでの遺伝子発現変動を明らかにする。そして、上皮系細胞と間質細胞の相互作用を考察し、更なる機能解析を行うことで、発がん課程のごく初期において間質細胞が果たす役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、卵巣がんに対する一細胞解析を通して、その悪性化機構を明らかにすることである。第一に卵巣成熟奇形腫の悪性転化を対象とした。卵巣成熟奇形腫の悪性転化は希少がんであり、その病態はほとんど明らかにされていない。5例の卵巣成熟奇形腫の悪性転化に対して、一細胞解析および空間的トランスクリプトーム解析を行い、がんの部分においてKLF5遺伝子の高発現を明らかにした。また、卵巣漿液性がんに対しては、4例の空間的トランスクリプトーム解析を施行しており、薬剤感受性に関わる因子を同定した。さらに、子宮平滑筋肉腫において細胞周期関連キナーゼが新規治療標的となりうることも明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん組織は様々な種類の細胞により構成されている。従って、従来のがん組織全体を対象とした解析では、様々な細胞の平均値を解析しているに過ぎなかった。しかし、最新の解析手法を用いると、一細胞レベルで遺伝子発現を評価できるようになった。これらの技術を使い、本研究においては、希少卵巣癌である成熟奇形腫の悪性転化の発がんに関わっている可能性のあるKLF5遺伝子を同定した。また、卵巣癌の治療抵抗性に関わる遺伝子も複数同定している。さらに、難治性の子宮肉腫に関する新規治療標的も同定した。これらの研究成果をもとに、更なる研究を行い、患者の予後改善に繋がることが期待される。
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