研究課題
若手研究
卵巣および子宮内膜に発生する癌の組織型は多岐にわたり、そのひとつに明細胞癌がある。近年、明細胞癌においてNapsin Aが高頻度に発現することが知られ、その免疫染色は日常病理診断に用いられている。正常組織においてNapsin Aは肺や腎臓で発現しているが、卵巣での発現はみられず、卵巣および内膜明細胞癌におけるNapsin Aの発現機序や意義については未だ不明である。本研究ではNapsin Aの発現機序を転写因子面から分子病理学的に明らかにし、明細胞癌の発生機序に新たな知見をもたらしたい。
Napsin Aは末梢型肺腺癌のマーカーとして知られているが、女性生殖器より発生する明細胞癌においても高発現する。しかし明細胞癌においてNapsin Aが発現する機序は不明である。本研究では、NAPSA遺伝子活性化に関与しうる転写因子4種類(A,B,C, D)の遺伝子導入が形質変化に及ぼす影響を解析した。結果、候補転写因子D導入株および、転写因子CとDを共発現させた細胞株において、Napsin Aの発現亢進傾向がみられた。これらが卵巣明細胞癌におけるNapsin Aの発現に与える影響は限定的かもしれないが、Napsin A発現に関与している可能性が示唆された。
卵巣明細胞癌は本邦において多く見られ、化学療法に対する感受性が低いことから進行例は予後不良な腫瘍である。卵巣明細胞癌においてNapsin Aが高発現していることは広く知られるところとなったが、その発現機序はいまだ明らかにされておらず、本研究成果はその解明に一歩近づいたと言える。卵巣癌において明細胞癌に比較的特異的に発現するNapsin Aの発現機序の一端を明らかにした本研究成果は、腫瘍発生メカニズムの解明に繋がるものと思われる。
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