研究課題/領域番号 |
21K16857
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬谷 昌範 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (00804353)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 呼気努力 / 喉頭抵抗 / 胸腔内圧 / 腹腔内圧 / 皮膚加速度レベル / 大声 |
研究開始時の研究の概要 |
大声発声は音声障害の主たる原因であるが、発症リスクには個人差がある。この個人差は、声の大きさの増大を呼気努力と喉頭抵抗のいずれに優位に依存するのかに依存することが仮定される。 本研究では、音圧計・加速度計・マノメトリー・電気声門図・発声機能検査を用いることで、①健常者・音声障害患者におけるクレシェンド課題遂行時の音圧増大の上記2因子への依存度のバランスの実態、②ハミングを用いた音声訓練のバランスへの即時的影響と長期的効果、③公立学校教師における嗄声の有無間でのバランスの相違、を検討する。本研究は、音声障害発症の高リスク者のスクリーニング、音声障害発症予防のための訓練法の開発に繋がる可能性を持つ。
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研究実績の概要 |
2021年度は新型コロナ感染症にともない、健常人の医療スタッフ(医師・言語聴覚士)を被験者とした第一の予備実験を実施できず、①呼気流率(U)・②声門下圧の算出の条件設定、⑥喉頭抵抗および横隔膜抵抗を算出できず、第二の消化管マノメトリーおよび皮膚加速度レベルによる実験で、徐々に音圧の増大を認めた成功例と、増大が乏しい失敗例と、急激に増大した失敗例に分類しえたが、半数で胃・食道の蠕動あるいは声帯振動の影響と考えられる揺れの混入を認めた。成功例では、胃内圧は陽圧のままで、胸部食道内圧は陰圧から陽圧にかけて経時的に増大し、消化管マノメトリーを用いることにより、呼気努力を評価可能という考察を得た。 2022年度は購入した発声機能検査装置が2022年1月に納入されたのに伴い、当装置を用いた計測に着手した。健常人を対象として、発声中の頸部表面加速度計、消化管マノメトリー、および発声機能検査装置による同時計測を行い、主に音声発声時の生理機能を明らかにすることを目標とし、これらの測定値を健常人および音声障害症例間で比較することを計画した。 (1)声の大きさを徐々に大きくしていくクレシェンド発声課題を遂行中の音声の強さ、気流量の連続的変化が評価できることを確認した。(2)頸部表面加速度計、騒音計および発声機能検査装置の3種類の装置の計測値の間の関連性について検討し、口の形、および頸部の姿勢が維持されている状態であれば、計測値間の線形性が維持されることを確認した。(3)クレシェンド発声中の呼吸調節の特徴を明らかにするために、2021年度に分類した成功例と失敗例間で、比較したところ発声直前吸気のピーク時、起声時、発声中の音圧レベルピーク時のいずれの点においても、胸部食道内圧および胃内圧の両方に有意差を確認した。また失敗例では、起声時の音圧レベルが成功例に比較して大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
発声機能検査装置の機器選定に関して、機器のデモの実施および機器選定が2021年10月に遅れ、機器の納入が2022年1月と大幅に遅れた。 また、大声・咳払い発声時のデータを記録するためには、感染対策を講じる必要があること、また感染拡大時には、データの記録そのものが困難であり、感染の波の間でデータの記録を行うにとどまってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
①健常人に加えて、音声障害症例も対象に含めて、データを記録し、大声発声が呼気努力と喉頭抵抗のいずれに優位に依存しているのか、そのバランスの分布の実態を明らかにする。 ②ハミングを行った時に上記のバランスが即時的に変化するのか、またハミングを用いた訓練を1ヶ月施行した時の上記のバランスが変化するのかを検討する。 ③学校教師のボランティアを対象とした検査においては、コロナ感染症流行による検査機会の消失が多いため、検査を実施するかどうかを含めて改めて検討する。
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