研究課題/領域番号 |
21K16866
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安田 正幸 東北大学, 大学病院, 助教 (00569585)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 酸化ストレス / 炎症 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病網膜症は中途失明原因の上位を占め、労働人口が減少する本邦において克服すべき疾患である。近年、細胞老化が種々の蛋白分泌を促進し慢性炎症を引き起こす細胞老化関連分泌形質(SASP)という現象が加齢性疾患の病態として注目されている。さらにSASP誘導に DNA傷害センサーであるSTING(Stimulator of Interferon Genes)経路の関与が示唆されているが、糖尿病網膜症の病態への関与は不明である。 本研究では、糖尿病網膜症の病態として細胞老化と STING 経路の活性化に着目し、血糖降下に依存しない新たな糖尿病網膜症の治療標的の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
糖尿病網膜症は多因子疾患であり、その病態の一つとして酸化ストレスが注目されている。本研究では、血中酸化ストレスマーカーである酸化ストレス度(dROM)と抗酸化能(BAP)を測定し、糖尿病網膜症との関連を調べた。その結果、dROMは糖尿病患者、および、増殖糖尿病網膜症患者で高値であった。ミュラー細胞を用いた実験では、高糖濃度培養により、酸化ストレスで誘導されるSTINGの遺伝子発現が亢進した。さらに、STING阻害剤を添加することで炎症性サイトカインの一つであるMCP-1の遺伝子発現が抑制された。以上の知見から、糖尿病網膜症の病態にSTING経路の関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糖尿病網膜症は、慢性血糖による細小血管合併症の一つであるが、同程度に血糖降下しても予後には個人差があり、新たな治療法の開発が必要である。糖尿病網膜症は多因子疾患であり、酸化ストレスや炎症が重要な役割を果たすとされている。本研究で着目したSTINGは酸化ストレスによるDNA障害により活性化し、炎症性サイトカイン産生を誘導することが知られている。本研究の成果は、糖尿病網膜症の病態としてSTING経路の関与を示唆し、将来的にSTING阻害剤という新たな糖尿病網膜症の治療薬の開発研究に貢献することが期待される。
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