研究課題/領域番号 |
21K16967
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小道 俊吾 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (40804456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 可逆性歯髄炎 / 不可逆性歯髄炎 / う蝕 / マクロファージ / ラット / 歯髄炎モデル / 創傷治癒 / 歯髄 / 極性化 |
研究開始時の研究の概要 |
令和3年度には、従来の覆髄実験モデル (健全歯髄) と可逆性歯髄炎モデルを用いたMTA による直接覆髄実験をおこない、得られた試料に免疫組織化学的手法を用いて、可逆性炎症歯髄に特徴的な M1/M2 マクロファージの経時的な極性変化を明らかにする。 令和4年度には従来の覆髄実験モデルと可逆性歯髄炎モデルを用いた直接覆髄実験をおこない、覆髄後の歯髄組織内における免疫調整因子についてLC-MS/MS 法を用いた定量的プロテオームをおこなうことで、可逆性炎症歯髄特異的な液性因子を検索する。同定された液性因子を培地中に各種濃度にて添加することで、歯髄幹細胞の遊走能・増殖能・硬組織形成能を評価する。
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研究成果の概要 |
本研究では、ラットにう蝕を誘発し、浅在性う蝕由来可逆性歯髄炎と深在性う蝕由来不可逆性歯髄炎の動物実験モデルの作製に成功した。 浅在性う蝕では、歯髄組織にてM2型マクロファージ等の発現が上昇することが明らかとなり、深在性う蝕の場合はM1型マクロファージの強い発現増強が認められた。また、浅在性う蝕を対象とした直接覆髄実験では、第三象牙質の形成が認められ、M2マクロファージが創傷治癒に役割を果たしていることが明らかとなったのに対し、深在性う蝕の場合には、露髄部の閉鎖は認められず、歯髄の炎症が残存した。 本モデルを用いることで、歯髄保存療法の適応拡大、歯髄炎治療薬開発へ発展することが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在の歯科臨床において、不可逆性歯髄炎に罹患した歯は、歯髄除去療法をおこなうしか選択肢が存在せず、抜髄された歯は寿命が短くなることが明らかとなっていた。歯髄保存療法の適応を歯髄炎まで拡大できれば、歯の寿命延長を達成できる可能性は高いが、これまで歯髄炎についての研究が不十分であった。 本研究では、ラットを用いた動物実験モデルて、う蝕に由来する可逆性・不可逆性歯髄炎を誘発することに成功した世界初の研究成果である。本研究により、歯髄炎を再現性高く誘発することができるようになり、歯髄保存療法の適応が歯髄炎にまで拡大すれば、根管治療フリーの歯科臨床の実現への展開が期待される意義深い研究である。
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