研究課題/領域番号 |
21K16995
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤野 翔香 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60883832)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 直接覆髄 / 歯髄幹細胞 / 象牙芽細胞分化 / ドーパミン / チロシン水酸化酵素 / 直接覆髄材料 / 低分子化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
現在臨床で用いられている直接覆髄材料では、多孔性の骨様象牙質が形成される場合が多く、安定した予後が期待できない。本来の象牙質と同様の象牙細管構造を有した、緻密な修復象牙質形成には、歯髄幹細胞を骨芽細胞ではなく、象牙芽細胞へ分化誘導することが重要である。そこで申請者は、Tyrosine Hydroxylase(TH)が、骨芽細胞にはほとんど発現が認められないが、象牙芽細胞に強く発現することに着目した。本研究では、THが歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化に及ぼす影響について明らかにし、さらにTHの発現を促進する低分子化合物を合成して、それを応用した新規直接覆髄材料の開発を行うこととした。
|
研究成果の概要 |
従来の直接覆髄材料は、骨様象牙質を誘導することがある。したがって、象牙細管構造をもつ緻密な修復象牙質を誘導することが可能な、材料の開発が必要である。私たちは最近、ドーパミン(DA)が象牙質形成に関与していることを報告した。ゆえに、DA が歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化および修復象牙質形成能について調べた。DA刺激はDPSCの象牙芽細胞分化を促進し、象牙細管構造を有する修復象牙質を誘導した。これらの結果は、THによって産生されるDAがDPSCの象牙芽細胞分化に関与し、本来の象牙質と同様の修復象牙質の形成を誘導することを示唆している。 この研究は、歯髄組織を保存する治療法の開発につながる可能性がある。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯髄組織の保存は、将来的な歯の保存につながると考えられる。現在の歯科治療において、偶発的露髄が生じた際、歯髄を保存するために直接覆髄処置が行われる。現在臨床で頻用されている水酸化カルシウム製剤およびMTAセメントは、多孔性の骨様象牙質を形成する場合が多いため、十分な封鎖ができず、感染を起こして抜髄となるケースは少なくない。そこで、本来の象牙細管構造を有した修復象牙質の形成を促進する直接覆髄材料の開発が求められている。本研究結果で着目した低分子であるドーパミンは、安全かつ安価で、象牙細管構造を有する緻密な修復象牙質形成を誘導する、新規直接覆髄材料の開発につながると考えられる。
|