研究課題
本研究では、Tyrosine Hydroxylase(TH)が、骨芽細胞にはほとんど発現が認められないが、前象牙芽細胞および象牙芽細胞に強く発現することに着目し、THが歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化に及ぼす影響について明らかにし、さらにその因子を応用した、本来の象牙質構造をもつ修復象牙質形成を可能にする新規直接覆髄材料の開発を行うことを目的とした。まず、歯髄幹細胞を単離するために、歯髄幹細胞のマーカーとして報告のあるCD146を発現する細胞を磁気細胞分離装置にて単離した後、単離した細胞の幹細胞特性について確認し、レンチウイルスを用いて、THが高発現する歯髄幹細胞を作製した。作製した細胞を象牙芽細胞誘導培地にて培養し、象牙芽細胞への分化能をRT-PCR法、Western Blotting法ならびに免疫細胞化学的染色法を用いて検討した。その結果、THを歯髄幹細胞に高発現させることで、象牙芽細胞への分化能が促進することが明らかとなった。さらに、si-THRNAを用いた発現抑制実験を行ったところ、象牙芽細胞への分化能が抑制された。以上のことから、THは象牙芽細胞分化に関与していることが示唆された。次に、THにより産生され、低分子であるドーパミンに着目し、ドーパミンにおける、歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化能ならびに象牙質形成能において検討を行った。その結果、ドーパミンは、歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化を促進し、さらにラット直接覆髄を用いてドーパミンを覆髄した結果、象牙細管構造をもつ修復象牙質形成を促すことが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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