研究課題/領域番号 |
21K17224
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
大石 裕子 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90846924)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自主退院 / 再入院 / 医療費 / 保険制度 / DAMA |
研究開始時の研究の概要 |
医療者の助言に反して入院を中断(DAMA: discharge against medical advice)し、重症化した状態で再受診、再入院に至るケースがある。こうした事例では、合併症や死亡率が上昇するとともに、本来不要な医療費の増加や医療現場の混乱につながるため、世界的に問題視されている。海外ではDAMAについての研究が行われている一方で、日本における研究は乏しい。そこで、本研究では群馬県におけるDAMAの発生頻度や発生要因を調査し、地域における医療的、社会的問題点を明らかにする。本研究の成果をもとに、将来的には日本におけるDAMAの減少につながる施策の提案を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、自主退院(DAMA:Discharge Against Medical Advice)に至る背景や課題を明らかにする目的で、質問紙票を用いて後方視的に調査し、57例の回答を得られた。自主退院は40-59歳、また男性に多く発生しており、自主退院までの入院期間(中央値)は6日であった。自主退院に至る理由として、患者側の要因は96%、病院側の要因を49%であった。退院後の経過を追えた患者40人のうち、当該医療機関あるいは紹介先の医療機関に入院あるいは予定外受診したのは55%であった。また、死亡例が1例あった。7例で自主退院前に無断離院しており、無断離院は自主退院の予兆である可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
患者側の要因でDAMAに至るケースを多く認める中には、患者による暴言・暴力によるものも含まれていた。自主退院症例には、医療機関側にとっての患者要因により入院継続が困難となり、半ば強制的に退院に至った症例が含まれていることが示唆された。自主退院は医療者にとって精神的・身体的負担になっているうえ、自主退院に対する院内統一の文書を作成している医療機関はいずれも病院、医師の免責について言及していることから、法律的な対応もうかがえた。患者、医療者ともに安心して入院継続できるような社会的な支援体制が必要と考えられる。今後は前方視的な全国調査を行うことで、本邦におけるDAMAに対する施策立案が望まれる。
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