研究課題/領域番号 |
21K17231
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
朴 珍相 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 講師 (20749949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ポリファーマシー / 多剤併用 / 向精神薬 / 医療リアルワールドデータ / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者を中心に薬剤の多剤併用が社会問題化しており、薬剤の多剤併用(ポリファーマシー)に対する注意喚起をしたガイドラインが近年発出されている。政策的介入に関しては診療報酬改定に伴い、ポリファーマシーを抑制するため複数の政策が施行されている。ただし、診療報酬改定により薬剤使用の適正化に向けた現行の取り組みが、臨床現場においてどのような効果を及ぼしているかに関しては十分な検討がなされていない。本研究は悉皆性の高いリアルワールドデータである電子カルテデータや全国レセプトデータを用いて、国内外のポリファーマシーの実態を定量的に評価し、政策介入と臨床側の処方変容の相関を総合評価する手法の確立案を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、悉皆性の高いリアルワールドデータである電子カルテデータや全国レセプトデータを用いて、国内外のポリファーマシーの実態を定量的に評価し、多剤併用に関する医療政策介入と臨床側の処方変容の相関を総合評価する手法の確立案を検討することである。 今年度の活動として、ポリファーマシーとなる薬剤の種類として主要オピオイド鎮痛薬の使用量の状況について明らかにし、がん患者を特定として医療用麻薬の使用量とポリファーマシーの関係性について横断的に解析した。さらには、小児精神疾患に処方される向精神薬の処方量の推移を経時的に調査した。全国レセプト情報・特定健診等情報データベースに基づいて、入院オピオイド処方量と外来オピオイド処方量の比を全国・年齢ごとに算出した結果、硫酸モルヒネ、フェンタニル、オキシコドンなどによる処方量は、調査期間中に院外処方で増加傾向を示した。また、人口統計学的変数の中で65歳以上の患者は、オピオイド種類および処方量の年間漸減傾向と有意に関連していることを明らかにした。さらに、小児精神疾患における3種類以上の向精神薬の処方量は院内処方において減少実態を明らかにした。 オピオイド系鎮痛薬はがん患者など緩和医療の向上に貢献することもある。ポリファーマシーの患者にとっても、加齢による生理的な変化や複数の併存疾患を治療するために疾患や症状に合わせた適切な薬物療法が行われることが重要である。このような医薬品が持つリスク・ベネフィットの両面を考慮したポリファーマシーによるオピオイド鎮痛剤の相互作用など、今後、国際比較を含むさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、国際比較の対象国である韓国の研究協力機関と円満な連携を取りながら研究関連データを入手する計画であった。その一方で、新型コロナ感染症の流行蔓延により、韓国の研究協力機関の出入り自粛が求められ、現地でのデータのクリーンアップを十分に進められず、結果として調査が著しく遅れた。 またレセプト情報等データベース(NDB)データ利用申出承諾の手続きもデータ提供まで期間にも影響があったため、国内外で比較研究を行うことが困難であった。これらを総合的に鑑み、研究の進捗状況を(3)やや遅れている、とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、NDBデータ利用承諾を得る次第に、全国における患者1人に当たり平均薬剤使用量を横断的に調査し、診療報酬改定前後の多剤処方の抑制施策の影響を検討する。また、医薬品の処方薬剤数量提供実態をリスク・ベネフィットの両面を考慮した医療者の行動変容を検討すると共に、同種薬の多剤処方の理学的合理性に対する意義を検討する。最後的な段階となる国際比較については、引き続き、韓国の研究協力機関と円満な連携を取りながら計画を遂行し、東アジアにおける薬物の潜在的に不適切な処方実際を後方視的に検討し医薬品適正使用の政策的な介入の意義について考察する。
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