研究課題/領域番号 |
21K17497
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | つくば国際大学 |
研究代表者 |
出澤 真乃介 つくば国際大学, 医療保健学部, 助手(移行) (60899699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マイネルト基底核 / 感覚過敏 / アセチルコリン / 可塑性 / 運動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
マイネルト基底核(NBM)の損傷は感覚過敏行動と第一次体性感覚皮質の異常な神経応答を生ずる。しかし、この変化の背景に潜むメカニズムは未だ明らかではない。そこで本研究では、NBM損傷ラットを用いて、第一次体性感覚皮質(S1)における機能および構造的変化を電気生理学計測、膜電位イメージング、免疫組織化学等の手法を用いて明らかにする。さらに、感覚皮質と運動皮質は機能構造的に接続があることから、NBM損傷により生じたS1の機能構造的変化に対して、運動療法がどのような効果をもたらすかを明らかにする。これらの結果は、運動による感覚過敏改善の可能性を模索する上で有益である。
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研究実績の概要 |
パーキンソン病やアルツハイマー病では感覚過敏や痛みなどの感覚異常が生じる。しかしその原因については未だに解明されていない。我々はこれまでの研究で、マイネルト基底核(NBM)の損傷が、一次体性感覚皮質(S1)の神経応答の強さと範囲を異常に増大させること、および感覚過敏様の行動が生じることをラットを対象として明らかにしてきた。そこで本研究課題はNBM損傷によるS1の神経応答変化の背景に潜むメカニズムを探ること、そのしけに応答異常を制御できる可能性があるか、主にこの2点について明らかにすることを目指す。ラットを対象として、S1における機能および構造的変化は電気生理学計測、膜電位イメージング、免疫組織化学等の手法を用いて計測し、神経応答異常に対して運動を含む制御アプローチを試みる。今年度は神経応答異常の制御アプローチとして、トレッドミル上での歩行/走行運動に加えて、より直接的な神経活動制御が期待できる経頭蓋直流電気刺激(tDCS)による皮質への電気刺激に挑戦した。歩行/走行運動については、運動の様子を評価するためにマーカーレス動作解析システムを取り入れ、現在その解析手法を確立しつつある。tDCSについては、皮質上に陽極刺激を適用することで、過剰に広がる神経応答を縮小させることが可能であるという結果を得た。これらの実験は運動評価方法やtDCSの効果を事前把握するための予備実験的な位置づけとして、NBM損傷動物に比べてより顕著な神経活動および行動異常をもつパーキンソン病モデル動物を対象として実施した。次年度はNBM損傷動物に対して、これまでの実験で確立した方法を適用し、実験を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は当初の予定に追加して、NBM損傷と類似の感覚異常を生じるパーキンソン病モデル動物に対するtDCSの効果についても興味深い知見を得ることに成功している。その点では予定以上に研究の進展があると言えるが、一方で、運動解析については解析機器の故障とそれに伴う修理対応に予想以上の時間がかかったため、解析手法の確立にやや遅れをとっている。従って、全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
NBM損傷動物に対して運動やtDCSといった複数の手法で、神経活動異常の制御アプローチを実施していくと同時に、パーキンソン病モデル動物に対する実験で得た知見も論文にまとめる予定である。トレッドミル運動の解析機器は修理が完了したが、必要に応じて機器の増設を検討し加速的に解析を進めていく予定である。
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