研究課題/領域番号 |
21K17639
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古川 希 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40897617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 心肥大 / 心不全 / 腸内細菌叢 / 心筋線維化 / 腸内細菌叢代謝産物 / FGF21 / 大豆タンパク / エネルギー代謝 / ミトコンドリア / オートファジー / マイトファジー |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの申請者らの研究から、代謝調節因子FGF21は心臓圧負荷という病的ストレスに対して心臓自体から産生され、エネルギー代謝を調節して心不全の病態を改善することが明らかになった。しかし、FGF21がどのようなメカニズムで心臓代謝、特にミトコンドリアの品質管理を行うか明らかになっていない。本研究は、FGF21の心臓への代謝調節作用に着目し、心臓エネルギー代謝を担うミトコンドリアの品質管理機構を明らかにすることで、「心臓の栄養・代謝調節」というFGF21の新たな役割を解明する。内因性の液性因子を標的とした心不全への栄養・代謝調節からのアプローチにより、新たな心疾患予防戦略開発の可能性を見出す。
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研究成果の概要 |
大豆タンパクXの心不全への効果を検証したところ、TAC処置により起こる心機能低下・心肥大・心筋の線維化:左室リモデリングが、大豆タンパクXをタンパク質源とした餌の摂食により抑制されることが明らかとなった(特願2022-80867 号)。さらに、餌摂食による心保護効果が見られたため、各群の糞便サンプルより腸内細菌叢解析を行ったところ、コントロール餌と比較して、大豆タンパクX餌摂食によりいくつかの短鎖脂肪酸産生菌の増加を確認し、この産生菌量は心筋の線維化値と逆相関していた。また、短鎖脂肪酸自体も大豆タンパクX餌摂食により有意に増加していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はこれまで機能性成分として抗肥満効果を示してきた大豆タンパクXが、心臓に対しても効果がある可能性を示したものである。さらにはそのメカニズムとして、近年心不全時の重要なエネルギー源としての可能性が見出されている短鎖脂肪酸を増加させることを示した。腸内環境は様々な疾患と関与しているが、本研究により心肥大ー心不全の病態を制御する可能性が示された。大豆タンパクXが腸内細菌叢を介して心不全進行予防に寄与することが明らかとなることで、予後不良の難治性疾患である心不全に対する、栄養学的なアプローチを介した新しい予防法を見出すことができ、その波及は大きいと言える。
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