研究課題
若手研究
本研究は、高齢者糖尿病を対象とした24か月間の前向き観察研究によって、持続血糖モニタリングを用いて評価した血糖異常が、拡散尖度画像 (Diffusion Kurtosis Imaging: DKI) を用いて評価した脳微細構造、認知機能に及ぼす影響を明らかにする。加えて、血糖異常に関連する生活習慣要因を明らかにすることで、高齢者糖尿病に合併する認知症を予防するための介入手段開発の基礎的データを得る。
本研究の目的は、高齢者糖尿病を対象とした24か月間の前向き観察研究によって、持続血糖モニタリングを用いて評価した血糖異常 (血糖変動、高血糖や低血糖の持続時間) が、拡散尖度画像 (Diffusion Kurtosis Imaging: DKI) を用いて評価した大脳白質や灰白質の微細構造や認知機能に及ぼす影響を明らかにすること、加えて、血糖異常に関連する高齢者の生活習慣要因を明らかにすることである。2022年度は、研究計画に沿って対象者の1年後の追跡調査を行い、高齢者糖尿病79名の評価を完了した。また、持続血糖モニタリングのより得られたデータと1年後の認知機能の関連を検討した。結果、グルコース値の適正域 (70~180mg/dL)、高血糖域 (>180 mg/dL)、それぞれが測定期間に占める割合である%Time in range (TIR)、%Time above range (TAR)が1年後の認知機能低下と関連することが明らかになった。一方で、血糖変動の指標である血糖の変動係数 (%CV)や低血糖の指標については、認知機能低下との関連を認めなかった。脳画像解析については、ベースライン時の撮像データを解析し、持続血糖モニタリングより得られたデータと脳小血管病 (ラクナ梗塞、微小出血、血管周囲腔の拡大、大脳白質病変)との関連を検討した。結果、%TIRおよび%TARが脳小血管病、特にラクナ梗塞および血管周囲腔の拡大と関連することが明らかになった。
3: やや遅れている
撮像した画像から脳小血管病を評価し、持続血糖モニタリングとの関連を検討できたが、拡散尖度画像の解析に時間を要しており、一部計画通りに進行できていないと考えられる。
持続血糖モニタリングより得られたデータと認知機能の低下、脳小血管病との関連について論文執筆を行う。加えて、拡散尖度画像の解析を進めるとともに、24か月時の最終評価を完了する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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