研究課題/領域番号 |
21K17684
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井上 裕行 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (70885293)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 膵β細胞 / 高脂肪食 / エピジェネティクス / 2型糖尿病 / 高脂肪食摂取 / 2型糖尿病感受性遺伝子 / 遺伝環境相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国において2型糖尿病患者が急増している原因として、代表者は食の欧米化と言われる脂質摂取量の増加に着目した。 日本人2型糖尿病患者の遺伝子解析により、疾患感受性遺伝子の1つとしてKCNQ1遺伝子が同定されている。代表者はKCNQ1遺伝子変異と2型糖尿病発症との関連性を研究する中で、日本人特有の「遺伝因子」と脂質摂取量の増加という「環境因子」の相互作用によって2型糖尿病患者が急増しているのではないかという仮説を構築した。 本研究は、日本人特有の「KCNQ1遺伝子変異=遺伝因子」に食の欧米化による「脂質摂取量増加=環境因子」がどのような影響を与えているかを検証するものである。
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研究成果の概要 |
Kcnq1遺伝子変異マウスの膵島を用いて高脂肪食負荷による転写因子C/EBPβおよび細胞周期調節因子p57発現量の解析を行った。その結果、対照群と比較してKcnq1遺伝子変異マウスの膵島においてC/EBPβ発現は亢進しp57発現量は増加した。p57プロモーター領域にはC/EBPβの結合領域が存在することが知られている。Kcnq1遺伝子変異マウスでは、p57プロモーター領域のエピジェネティックな修飾が変化し、転写亢進状態と推測されるが、高脂肪食負荷で膵島に蓄積したC/EBPβがp57プロモーター領域に結合することでp57のさらなる発現亢進が引き起こされ、膵β細胞量減少をきたすと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、遺伝因子と環境因子の相互作用が膵β細胞不全を加速させる可能性が明らかとなった。特に、本研究で使用した「高脂肪食負荷Kcnq1遺伝子変異マウス」は、日本人2型糖尿病モデルマウスとして非常に有用であることが確認された。2型糖尿病発症メカニズムにおける日本人特有の遺伝因子と脂質摂取という環境因子との相乗効果、すなわち「Gene-Environmental Interaction」に着目した本研究は、日本人の遺伝因子に近年のライフスタイルがどのような影響を与えているかを検証したものであり、今後、日本人に対する適切な糖尿病治療法や予防法の開発につながる点で非常に重要な結果が得られた。
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