研究課題/領域番号 |
21K17704
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 佐賀大学 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
岩崎 淳 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (70789958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マルチパーティ計算 / 秘密分散 |
研究開始時の研究の概要 |
情報を分散して保存(秘密分散)し,その状態でサーバ同士が協調して計算を行う秘密分散に基づくマルチパーティ計算(MPC)は,近年実用化されつつある.MPCにおいて,2つの数の大小を比較する大小比較アルゴリズムは基本的で不可欠なパーツであるが,計算速度の面でボトルネックとなる.MPCではサーバ間の通信に時間を要するので,通信を削減することがアルゴリズムの設計上重要になる.本研究は実用的な通信量の範囲内でラウンド数(並列化されない通信の回数)をより削減した大小比較アルゴリズムの開発を行う.これにより大小比較アルゴリズムの実行時間を20%以上削減でき,マルチパーティ計算全般の高速化に寄与する.
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研究成果の概要 |
マルチパーティ計算において二つの変数の大小を比較する大小比較アルゴリズムは,基本的なアルゴリズムであり通信コストの削減はマルチパーティ計算一般の性能向上につながる.主要な先行研究においては全体の通信コストに比較される変数のビット長を$l$としたときに,通信量が$O(l)$となるアルゴリズムが提案されてきた.一方で,$O(l^2)$かかるが,現実的な通信量で実行でき,通信ラウンド数を削減したアルゴリズムも提案されている.本研究では通信量が$O(l^{3/2})$で少ないラウンド数で実行できる大小比較アルゴリズムを開発した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高度IT化社会において,情報を安全に処理する手法の一つにマルチパーティ計算があげられる.複数のサーバに秘匿すべき情報を分散し,分散された状態を保ったまま計算を行うことから,一部のサーバがサイバー攻撃を受けたりサーバ管理者に瑕疵があったとしても情報セキュリティを確保することができる.しかし,通常の計算に比べて計算コストは高く,特にサーバ間の通信がネックとなる.本研究成果は少ない通信コストで実行できるマルチパーティ計算における基礎的なアルゴリズムであり,マルチパーティ計算の実用化・普及に寄与する.
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