研究課題/領域番号 |
21K17903
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
田中 厚資 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 特別研究員 (10896327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ナノプラスチック / 海洋プラスチック汚染 / 定量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノプラスチックによる汚染が世界的に進んでいる可能性が示唆されているが、未だ正確に定量する手法はなく、環境中での存在量は未解明の状況である。本研究では、環境試料中のナノプラスチックの正確で精度の高い定量分析法を開発する。申請者が開発した各ポリマーの球状ナノ粒子を用いることで、熱分解GC/MSを基礎とする分析法に、信頼性を評価する添加回収試験と、誤差等を補正する内部標準法の導入が可能となる。加えて、多種ポリマーが混在する試料からのポリマー分画法を開発し、熱分解GC/MSで分離の難しいポリマーについて、個別の定量を可能にする。最終的には、作成した手法を環境試料に適用し、実試料での実用性を確認する。
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研究実績の概要 |
ナノプラスチック分析法の開発に必要なナノプラスチック標準粒子を、5種のポリマー(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル)について作製し、分子量分布、結晶化度等の分析を行い、一般的なプラスチック製品と同等の組成、物理・化学的性質を持つことを確認した。この結果は作製粒子がナノプラスチックの標準粒子として妥当であることを示すものであり、定量分析への利用に留まらず、毒性試験等への応用においても重要な意義がある。この結果は国際学術誌での報告を行ったほか、特許出願を行った。 また、内部標準法をナノプラスチックの定量分析に導入するために必要な安定同位体ラベルしたナノプラスチック粒子を作製するため、さまざまな原料を試みたものの、正常に作製できなかった。この原因については明確ではないが、原料における着色の状況等から原料由来の不純物に起因することなどを考えている。この結果を受け、現在、安定同位体ラベルポリプロピレンの調整を他研究機関との共同研究によって進めており、これにより解決できるものと考えている。 熱分解GC/MSを用いた定量手法に関しては、上記で作製した粒子を用いた検量線の作成等を確認し、保有する機器でナノグラムオーダーのナノプラスチックの検出が可能であることを確認した。加えて、前処理についてナノプラスチックとそれ以外のサイズのプラスチック粒子等を分画するためのフィルタリング等の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の重要な点として、ナノプラスチックの分析の信頼性を担保するための内部標準法を導入することを計画している。これに必要な安定同位体ラベルしたナノプラスチック粒子作製においてさまざまなポリマーを原料として試みたものの、原料由来の不純物によるとみられる影響のため正常に作製できなかった。現在、安定同位体ラベルポリプロピレンの調整を他研究機関との共同研究によって進めており、これにより解決できるものと考えており、この点において計画より遅れているものの、全体としてはおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、標準粒子を用いた分析法の開発を引き続き行うとともに、前処理におけるナノプラスチックのポリマーの分画法の検討を行う。具体的には、熱分解GC/MSでの分析において熱分解産物が共通する物質を分離する手法を検討する他、プラスチックの光酸化劣化が進んだ際の熱分解GC/MS分析におけるピーク形状や信号強度の変化について検討することを計画している。
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