研究課題/領域番号 |
21K17906
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小山 光彦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (50794038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | メタン発酵 / 有機物負荷ショック / 微生物叢 / 微生物ネットワーク / レジリエンス / 負荷変動 / 次世代シーケンス |
研究開始時の研究の概要 |
メタン発酵は、有機性廃棄物からエネルギーを生産できる優れた技術として実用されているが、基質供給量の大きな変動(負荷変動)に対する安定性についての定量的検討は殆どおこなわれていない。本研究は、負荷変動に対するメタン発酵微生物叢の応答ならびに適応力の解明に取り組む。次世代シーケンス解析を用いて微生物の応答を統合的に理解することで、負荷変動するメタン発酵の安定化に有用な「鍵」微生物を特定するとともにその高濃度化/高活性化に寄与する操作を推定する。
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研究成果の概要 |
本研究は、有機物負荷ショックに強いメタン発酵システムの開発を目指して、繰り返される負荷ショックに対するメタン発酵微生物叢の応答と適応の解明を目的とした。複雑な基質に馴化した種菌では、有機物負荷が高くても微生物の多様性は安定でメタン収量への影響も小さいことから、負荷ショックに対するレジリエンスが高まることが明らかとなった。一方、負荷ショックの頻度が低いほど、微生物ネットワーク構造が崩壊し、最終的にメタン生産性が損なわれた。そこで、より高い有機物負荷に馴化させた種菌を接種したところ、負荷ショックを繰り返してもメタン生産性が維持され、微生物ネットワークも安定であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、メタン発酵技術は処理対象が通年定量排出されることから、一定の有機物負荷条件においてプロセスの高効率化やメカニズムの解明が取り組まれてきた。一方で近年増加傾向の「突発的に発生する有機性固形廃棄物」へのメタン発酵の応用が考えられるが、負荷変動がメタン発酵の安定性に及ぼす影響に関する知見は乏しい。本研究は、負荷変動に対するメタン発酵の動態と安定化を初めて明らかにしたものである。変動に強い装置は、すなわち安全係数の低い小型装置を作ることができるようになるため、メタン発酵技術を、供給量の日変動が大きい小規模装置が望まれる過疎地域や船舶、果ては宇宙船などにも導入できるようになることが期待される。
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