研究課題
挑戦的研究(開拓)
糖鎖はタンパク質と比べてゆらぎが大きく、X線やMRIの解析により平均的立体構造を得ることは難しい。最近糖鎖に対する受容体酵素が見つかったが、糖鎖によるその酵素活性の生物学的意義は不明であった。研究代表者の所属するグループはその糖鎖のリガンドとしてのコア構造を決定し、受容体酵素の基質を含む下流シグナル、そしてそれによる神経軸索再生制御を解明した。この発見は例外的な糖鎖のシグナル経路とは考えにくく、新しいコンセプトが隠されている可能性が高い。本研究の眼目は、多面的アプローチによって、糖鎖シグナル伝達という新コンセプトを樹立することにある。これによって糖鎖受容体の発掘が本格化すると期待される。
これまでタンパク質のような受容体を介した細胞内シグナル伝達は、糖鎖にはできないと考えられてきた。しかし、最近見つかった糖鎖受容体の下流シグナルとその糖鎖リガンドのコア構造を我々は決定し、それによる神経軸索再生制御を解明してきた。本研究は、多面的アプローチによって、糖鎖シグナル伝達という新コンセプトを樹立することを眼目とした。我々は受容体型チロシンフォスファターゼPTPσに加えて、受容体型チロシンキナーゼALKが糖鎖受容体として働き、長大な糖鎖コンドロイチン硫酸とへパラン硫酸はこれらの受容体下の共通基質を介して真逆の細胞内シグナルを送り、軸索再生などに対しても真逆の表現型を示すことを明示した。
本研究課題でカバーされた一連の研究により、機能性糖鎖リガンドが明確に存在し、複層的な分子スイッチとしての役割さえも果たしている実態を示すことができた。加えて、本研究は長鎖ヘパリンの受傷後神経回復促進や糖脂質の運動学習への貢献などの予期せぬ発見ももたらした。成果の一部は臨床的にも応用が可能と期待されるものが含まれている。さらに、糖鎖の期待以上の様々な生物学的活性を示すことができ、現在、我が国を起点にうねりが起きようとしている、第3の生命鎖である糖鎖を軸とした生命科学の新しい展開への一助となった。
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