研究課題/領域番号 |
21K18276
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
砂川 玄志郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70710250)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 休眠 / 冬眠 / 急性疾患 / 冬眠の臨床応用 / 搬送医療 |
研究開始時の研究の概要 |
一部の哺乳類は自ら代謝を低下させ、飢餓・冬季といったエネルギー供給が乏しくなる状況を乗り越える。このような能動的低代謝を休眠とよび冬眠は数ヶ月に及ぶ休眠状態である。休眠中の個体は正常時と比べて酸素消費量が著しく低下するが組織・細胞が低酸素性障害を受けない。このような低代謝耐性を患者に付与できれば、これまで致死的であった急性疾患の予後を劇的に改善しうる。そこで本研究では申請者が開発した冬眠マウスモデルを用い、低代謝によって急性疾患の進行抑制ならびに予後改善が可能か検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究ではマウスにおいて冬眠様低代謝によって疾患の進行が遅延できるか検証する。本年度は、冬眠様状態(QIH; Q neurons-induced hypometabolism)を誘導できるマウス(Q-M3マウス)を安定的に作出し、同マウスで疾患モデルを作成することで、QIHの誘導によって疾患の生命予後が改善するか検証した。 1.急性腎不全 急性腎不全は腎機能の低下に伴い体液恒常性・電解質恒常性が破綻し、呼吸機能・心機能の低下が生じ死に至る。急性腎不全の代表的な原因は腎臓の虚血である。臨床において大血管置換術を行う際に避けられないか大動脈クランプは一時的な腎虚血を生じるが、全身麻酔下にある患者の体温を低下させることで腎機能障害を防いでいる。そこで、本年度は、Q-M3マウスへ対して全身麻酔下にて下大動脈クランプを行い、QIH誘導群と非誘導群の予後を比較した。さらに、全身麻酔下にあるため体温コントロールが可能であることから、QIHの有無とは独立に、体温を36度前後に維持する群と、22℃前後に冷却する条件を加えて比較した。QIHの有無に関わらず、体温を低下させた群は腎障害を予防できるという結果を得た。また、体温が36℃前後であってもQIHが誘導されていると、腎障害が予防できた。 2.敗血症 敗血症は感染による全身的炎症反応であり、放置されると免疫系の過剰反応によりショック、多臓器不全などを生じ、最終的には死に至る。昨年まで、マウスの敗血症モデルがQIHの誘導によって生存時間が延伸することが確認されていた。本年度は、敗血症に他の治療を加えた際に、QIHがどのように影響を及ぼすか検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は冬眠様状態(QIH; Q neurons-induced hypometabolism)を誘導できるマウス(Q-M3マウス)を安定的に作成し、腎障害モデルと敗血症モデルの実験を積極的に行った。急性腎不全モデルに関しては、QIHが低体温でなくても虚血による障害を防ぐことが示唆され、温かい冬眠が虚血に有効であるという新しい知見を得るに至った。敗血症に関しては、Q-M3マウスへ対して盲腸結紮穿刺による敗血症性腹膜炎モデルを作成し、抗生剤投与などの他の加療が加わったときにどのような表現型になるかを検証できた。
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今後の研究の推進方策 |
急性腎不全モデルに関しては、よりマイルドな腎不全症状を呈する一過性虚血性腎不全モデルを導入し、血清学的検査や、組織学的検査によりQIHが腎臓に及ぼす影響を評価する。敗血症に関しては、論文化する。重症肺炎に関しては、昨年は進展がなかったため、本年度は感染させるマウス化インフルエンザウイルス(A/California/04/2009株を予定)を精製し、肺炎モデルを作成し、無加療の肺炎モデルがどのような経過をたどるか検証する。
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