研究課題/領域番号 |
21K18630
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大谷 将士 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (90636416)
|
研究分担者 |
近藤 恭弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 主任研究員 (40354740)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
|
キーワード | ミューオン / 自動サイクロトロン共鳴 / サイクロトロン共鳴 / イメージング / 加速 |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀初頭から現在に至る加速器科学の発展は、電子や陽子・イオンなど種々の量子ビームの利用を可能にし人類の叡智を切り拓いてきた。近年実現したミューオン加速技術を発展し、加速に要する距離を10分の1程度にまで縮小することができれば、持ち運び可能な大型コンテナでミューオンビームを生成する装置が実現し、これまで宇宙線ミューオンで行われきた透視イメージングを凌駕する高精度・短時間でのミューオンイメージング分野が開拓できる。本装置実現のボトルネックになっているミューオン加速器の小型化(40メートル→数メートル)のために、サイクロトロン共鳴という新しい加速スキームに挑戦する。
|
研究実績の概要 |
ミューオン加速技術は、宇宙線ミューオンで行われているイメージングを凌駕するミューオンビームによる透過イメージングや高エネルギーミューオン衝突型加速器など、様々な将来計画の基盤技術となるものである。本研究課題では、近年実現したミューオンの高周波技術をもとに、サイクロトロン共鳴加速原理の検証を行うものである。 サイクロトロン共鳴加速は一様磁場中でのサイクロトロン運動と横方向電場を持つTEモードなどの高周波電場を同期させることで粒子を加速する方式である。既に電子加速で高効率加速の実績があるが、電子の場合は相対論的効果によって到達エネルギーに限界がある。陽子加速も検討されてきたが、質量が重たい分大口径の強磁場ソレノイド磁石がボトルネックとなる。以上の経緯を考慮すると、電子と陽子の中間質量をもつミューオンはサイクロトロン共鳴加速に適した粒子であり、高周波加速が実現した今こそ、この手法によるミューオン加速の検証の時が来たといえる。 本原理の検証のために、原理実証器の設計・製作・試験を行う。電磁場解析ソフトならびに粒子軌道シミュレーションに基づいて、324MHzのTE11加速空洞の設計を行った。本加速空洞を用いてミューオンを10数cm程度の領域で10MeV以上まで加速することが可能である。現在、空洞制作の最終段階にあり、制作後はミューオン加速に必要なMW級の大電力試験を実施し、本加速原理の検証を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会情勢の影響で加速管の材料となる無酸素銅の調達遅延と価格高騰によって試験スケジュール・内容を見直す必要が生じたが、次年度に加速空洞制作を完了次第、ミューオン加速に必要な大電力試験まで実施できる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
加速空洞制作を完了次第、MW大電力試験を実施する。既にクライストロンなどの高周波大電力試験が可能なテストスタンドにおいて、本技術の基盤となる交差櫛型ドリフトチューブ加速空洞(IH-DTL)の大電力試験を実施した実績があり、大電力同軸回路などの必要な機器の準備が整っている。
|