研究課題/領域番号 |
21K18637
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
當真 賢二 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (70729011)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 暗黒物質 / アクシオン / 原始惑星系円盤 / 偏光 / 赤外線 / 近赤外線 |
研究開始時の研究の概要 |
現代天文学は、暗黒物質と暗黒エネルギーの存在を前提として成立している。これらの正体を明らかにしない限り、我々は宇宙を理解したとは決して言えない。近年、最も活発に議論されている暗黒物質候補がアクシオンである。アクシオンは光にわずかに作用し、その振動方向を回転させる性質を持つ。原始惑星系円盤の光は普遍的に同心円状の振動方向を持つが、アクシオンによって同心円からわずかにずれて観測される。このずれを検出できればアクシオン暗黒物質の証拠となる。原始惑星系円盤の観測はその分野の急速な進展に伴い、良質なデータが蓄積されつつある。我々独自のこの新奇な手法を適用し、アクシオン暗黒物質の存在の兆候を捕らえる。
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研究実績の概要 |
暗黒物質は、宇宙の進化において不可欠と考えられているにもかかわらず、その正体は全くの不明である。近年、素粒子論と宇宙構造形成論において最も活発に議論されている暗黒物質候補がアクシオンである。我々はアクシオンが光の偏光に影響することに着目し、原始惑星系円盤の偏光観測を用いてアクシオンを探査できるという全く新しい手法を2019年に提唱した。そしてSubaru望遠鏡で2011年に得られたAB Aurigaeの偏光データからアクシオンの存在に対しそれまでで最も 厳しい制限を導いている。原始惑星系円盤の観測手法が著しく発展していることも我々のアクシオン探査手法の強みである。本研究では、2011年以降の既存の良質な観測データの解析やアップグレードされたSubaru高精度偏光観測装置SCExAOによる観測を図り、制限の更新あるいはアクシオンの兆候を捕えることを目指す。またアクシオンエネルギーが振動することによる偏光角振動を抽出する解析手法を確立する。 当該年度の成果として、前年度採択されたSubaruの高精度偏光観測装置SCExAO fast-PDI modeの観測計画に基づいて、観測を実行した。2022年4月に2晩、またその前にテスト的に2月に2晩、原始惑星系円盤TW Hyaを観測した。 データ解析のために、機械学習による画像選別プログラムを開発し、それを使って偏光解析に使用できる画像を抽出できた。そしてfast-PDI modeの偏光解析のパイプラインの構築を進めた。 次のシーズンの観測提案も採択され、2023年1月に観測したが、悪天候のため良いデータは取得できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Subaru/SCExAO fast-PDI modeの観測は当該年度から開始され、我々の観測も含めて、初めての観測が実行された。観測には成功したが、偏光のデータ解析のための装置誤差等の評価や解析パイプラインの整備が未だなされていない。この作業はSubaruの観測チームによってなされると予想していたため、予想外にデータ解析が遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に観測を実行した他のグループとも連絡をとり情報交換しながら、装置誤差の評価を含めた解析パイプラインの整備を進める。それによってデータ解析を実行し、最初の偏光画像の取得を目指す。その上で、3回目の観測の提案を採択させ、3回の偏光データをもとにアクシオンの兆候を探る。
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