研究課題/領域番号 |
21K18708
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
明連 広昭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20219827)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | トポロジカル量子ビット / 組紐操作 / 単一磁束量子論理回路 / 量子操作 / 単一磁束量子電流パルス / トポロジカル量子コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル絶縁体ジョセフソン接合(3D TI JJ)の理論モデルを追加した回路シミュレーションソフトを用いて、3D TI JJ三角格子アレイ中の分数量子磁束の組紐操作をSFQ電流パルスで駆動する回路を設計する。また、より汎用性の高い構成として3D TI JJ正方格子アレイ中の量子磁束の組紐操作を大規模メモリアレイへのSFQ書き込み回路を参考に設計する。 設計された組紐操作回路は、通常のJJアレイ中の量子磁束の移動操作としてデモンストレーションする。 また、研究期間中に実用的な3D TI JJアレイが完成した場合には、設計・試作したSFQ組紐操作回路を実装して、トポロジカル量子ビット操作を試みる。
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研究実績の概要 |
3次元トポロジカル絶緑体に s 波超伝導体であるNbを近接きせてトポロジカル超伝導体を実現し、そのトポロジカル超伝導どジョセフソン素子を三角格子や正方格子にアレイ化することによりトポロジカル量子ビットが掲載可能である。アレイ中には4π周期の磁束と2π周期の磁束が存在し、アニオンであるマヨラナ準粒子(MBS) は2π周期の磁束に束縛されており2π 周期の磁東量子の移動に伴ってMBSがアレイ中を移動し、組紐動作が可能となる。2π周期の磁束量子の移動は電流パルスにより可能であることが理論的に示されている。 本研究では単一磁束量子 (SFQ) 論理回路により発生するSFQにより発生する電流パルスにより組紐操作を実現し、最終的にはトポロジカル量子ビットと古典コンピュータである単一磁東量子論理回路の共存するトポロジカル量子コンピュータの実現への初期的な研究を行うことが目的である。 2年目の2022年度にはWRspiceのソースコードに2π周期と4π周期のジョセフソン電流が混在したトポロジカルジョセフソン素子のモデルを実装した。全ジョセフソン電流に対する4π周期の電流の割合αをパラメータとして三角格子と正方格子アレイにおけるMBSの組紐動作の素子パラメータ依存性および動作マージンを明らかとした。結果として大規模集積化に対して十分に広い動作マージンを有することが明らかとなった。さらに、組紐操作には順回転と逆回転の操作が必要であるが、フラックスバイアス可能なバイポーラ電源の設計を行い、十分に広い動作マージンと高速動作可能なパラメータを得ることができ試作を行った。一方、SFQ論理回路の試作・設計に向けて必要となるSFQ論理セルの設計を行い、さらに無冷媒測定環境の構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったWRSpiceへのトポロジカルジョセフソン接合モデルの実装は2022年前半で行い、4π周期のジョセフソン電流成分を含むことの影響を確認した。さらに、トポロジカルジョセフソン接合を用いた三角格子と正方格子アレイにおける組紐操作の基礎的な確認は既に終わり、正方格子アレイのSFQ論理回路による組紐操作に関する基礎的な設計・確認も2022年度に終了した。このため、2023年度ではより大規模な周辺回路の設計や初期状態書き込み手法、最終状態の観測手法の提案が可能となった。さらに、実際のSFQ論理回路や通常のジョセフソン接合を用いた三角格子や正方格子を用いた実証実験を行うための機械式冷凍機による測定環境の構築は2023年度前半に終了する予定である。
以上より、当初の研究計画より進んでいる研究内容と多少遅れている研究内容があるが、全体としては計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
トポロジカルジョセフソン接合の正方格子アレイに結合するバイポーラ電源アレイの構成方法の検討と小規模化・省電力化の検討を当初の計画に含めて行う。さらに、4Kに実装されるSFQ論理回路への組紐操作手順の記憶方法等の検討を行う。これらの組紐操作に関する研究に含めて、トポロジカル量子ビットの初期化手法と最終状態の観測方法 (観測結果をSFQ論理回路で読み出す方法) についての提案を行う。
試作環境については、国内のファウンドリサービスに加えて、海外 (米国、ヨーロッパ) のファウンドリーサービスの利用も今後検討し、設計結果の実証を確実に行えるようにして研究を推進する。特に、バイポーラ電源アレイはmk環境下での動作が必要であり、それに付随するSFQ論理回路も同じ温度環境での動作が必要で抵抗を構成する金属材料の新たな選択が必要となる。
測定環境の構築は、機械式冷凍機による測定環境を2023年の前半を目途に完成する予定である。最終年度には実際のトポロジカルジョセフンソン接合アレイとSFQ論理回路を結合して実証実験を行う。
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