研究課題/領域番号 |
21K18736
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松井 佳彦 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00173790)
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研究分担者 |
松下 拓 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30283401)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 環境技術 / 環境材料 / 土木環境工学 / 反応・分離工学 / 水資源 |
研究開始時の研究の概要 |
マンガンや鉄は河川水など多くの水道水原水に含まれ、数μg/Lレベルの低濃度であっても配水管等に析出し黒い水や赤水の原因となる。本研究では活性炭を粒径が1μmまで微粉化し,塩素などの酸化剤を介して酸化の触媒や酸化剤そのものとして利用し,2価マンガンなどの酸化・不溶化する新しい処理法の可能性を検討する。触媒作用をさらに検討し、酸化力を有する活性炭について検討する。
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研究実績の概要 |
Mn2+の触媒表面酸化による除去速度式を誘導し,得られてきた一連の実験結果との比較解析に適用することで,SPAC-chlorine法による微量濃度のMn2+の触媒酸化除去速度を定量的に解析した. 境膜物質移動抵抗モデル,Eley-Rideal機構の表面反応モデル,擬似定常状態仮説を導入し,酸化対象物質が酸化剤に比べて非常に低い濃度であることを仮定することにより,結果として境膜物質移動,吸着,酸化脱着の3つの速度抵抗の線形結合で表される1次反応の総括除去速度モデルを導出することができた.このモデル式は,水質,遊離塩素濃度,撹拌強度,水温,活性炭粒径を変化させた場合のMn2+除去速度係数について,すべての実験結果によく適合した.このモデル式を使うとある遊離塩素濃度,撹拌強度,水温の条件において,境膜物質移動,吸着,および酸化/脱着の除去速度抵抗がそれぞれどの程度,除去速度抵抗に寄与しているかが議論できるようになった. 競合物質のない原水では,水温がMn2+除去速度に与える影響はおおよそ水の粘度の変化に伴う物質移動係数の変化で説明できる.一方で,競合陽イオンによる吸着サイトの減少は水温が低いほど大きくなると推定された.したがって,低水温では,粘度上昇による物質移動速度の低下に加え,競合陽イオンによる吸着が促進されるため,Mn2+の除去速度が大きく低下することがわかった.活性炭と木炭では,粒子表面の吸着サイト濃度に8倍の差があり,その結果として得られた除去速度係数には2.2倍の差があった.しかしながら,除去速度係数にとってより重要な要因は,反応中の活性炭の粒径である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
塩素・活性炭によるマンガンの除去速度を,境膜物質移動,吸着,酸化脱着の3つの速度抵抗の線形結合で表される直感的にわかりやすい1次反応の総括除去速度モデルで表現できた大きな成功であった.
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は実際の浄水で課題となる消毒副生成物の生成や活性炭による臭気物質などの吸着除去との兼ね合いについて検討する.
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