研究課題/領域番号 |
21K18747
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 智大 京都大学, 工学研究科, 助教 (20793798)
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研究分担者 |
市川 温 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (30293963)
横松 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 立地選択モデル / アメニティ / 公共交通 / 住宅価格 / エージェントベースモデル / 交通利便性 / 気候変動 / 流域治水 / 立地誘導 / 水災保険 |
研究開始時の研究の概要 |
洪水災害のリスクを河川整備のみで対応することは非現実的であり,都市政策を組み合わせた総合的治水対策の重要性が長年叫ばれてきた.しかしながら,土木工学における研究分野は細分化しており,水工学分野での河川整備の評価と都市計画学分野での政策分析は独立している.本研究は,河川工学と都市計画学の学際融合により,洪水発生と立地選択の両方を表す新たなエージェントベースモデルを開発する.淀川流域中流部の京都市とその周辺域を対象に,開発した洪水発生・立地選択モデルを適用して河川・都市・気候が変化する中で壊滅的な損失を避ける河川・都市シナリオパスを分析する.
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研究実績の概要 |
居住誘導施策のもつ水害リスク低減効果を動的に評価する枠組みの構築を目指し、昨年度にエージェント型立地選択モデルに導入した公共交通利便性指標の改良を行った。 まず、昨年度検討した指標1)最寄り駅までの距離の逆数、指標2)複数駅へのアクセスおよび各駅での運行頻度に加え、指標3)複数駅と最寄りバス停までのアクセスおよび各停留所での運行頻度の3つの指標を追加検討した。鉄道の利便性を表す部分は同一の式で表現し、徒歩圏内のバス停に対して、バス停までの所要時間と1時間当たりのバスの運行本数に基づいて1時間当たりに利用可能なバスの本数の指標を定式化し、同指標が最大となるバス停と昨年度まで検討した複数駅までのアクセスを統合した統合型の公共交通利便性指標を提案した。その結果、新たに提案した指標3)の複数駅と最寄りバス停までのアクセスおよび各停留所での運行頻度が住宅価格ともっとも相関が高く住宅価格の分布を最も適切に表現していることがわかった。そこで、同指標を本研究の立地選択モデルのアメニティと設定した。 また、アメニティ導入後の立地選択モデルを更に改良するため、モデル内におけるディベロッパーの住宅価格決定機構を修正した。改良したモデルに上記の指標3によるアメニティ指標を入力して住宅価格および人口分布の再現計算を行った結果、昨年度の住宅価格の空間分布の再現計算の精度を高めることができた。改良したモデルを用いたシナリオ分析にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画で想定していたモデルの構築に加えて、立地選択モデルの定量的な再現性を向上させることに成功しており、その点で当初の計画以上に進展しているといえる。一方、当初計画で予定していたアンケート調査に着手できていないため、今年度はアンケート調査に基づく住民の意思決定パラメータの設定を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、複数の開発シナリオに対して立地の変化を計算し、シナリオ間の洪水リスク変化傾向とその程度について検討する。開発する地点の洪水リスクの高さに応じて開発後の立地変化による洪水リスクの変化が想定される。特に、開発地周辺の地価が上昇をすることに起因して、所得ごとにどの洪水リスクエリアに分布する傾向が見られるかを分析する。これによって、立地誘導に伴う開発がその地域だけでなく市場原理を通してより広い範囲の洪水曝露資産の分布に影響する様子を分析する。さらに、アンケート調査に基づいて立地選択機構のパラメータの妥当性を設定することを試み、住民の意思決定機構というミクロな現象と地域全体の立地分布というマクロな現象の双方から立地誘導の影響をモデル化する。
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