研究課題/領域番号 |
21K18835
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
石崎 貴裕 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50397486)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | Li空気電池 / カーボン系材料 / 触媒 / 深共晶溶媒 / 酸素の酸化還元反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、長寿命で高性能なLi空気電池を実現させるために、酸素の酸化還元反応を促進 できるカーボン複合体・酸化物からなる複合触媒材料(正極触媒材料)の合成技術の開発と酸素の酸化反応を促進可能な液体触媒となる深共晶溶媒(Deep Eutectic Solvents; DES)の触媒能発現メカニズムの解明を行う。触媒能を示すDESのイオン伝導性や粘性等の諸特性を計測し、機能発現に寄与する因子を明らかにし、新しいDES触媒を設計する。正極触媒、DES触媒、Redox mediator(RM)触媒を利用し、マルチ触媒のシナジー効果を発現させる最適解を解明し、高性能Li空気電池を創製する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、Li空気電池の触媒として使用可能なポーラスカーボン系正極材の開発および作成した深共晶溶媒(DES)の物性値の測定を行った。カーボン合成では、酸素還元反応の触媒として有効なCo-N-C結合を有するポーラスカーボンを金属有機構造体(MOF)を、そしてカーボンの結晶性向上を目的として、Cu源を原料に用いて合成した。前駆体のMOFを合成する原料には、硝酸コバルト、硝酸亜鉛、硝酸銅と2-Methylimidazole(2MZ)を用いた。これらの金属源の混合比を変更させてMOFを合成し、その後熱処理することで、マクロポーラスカーボンを合成した。合成したカーボンのSEM像から約300nmの直径を有するポーラス構造が形成されていることを確認した。合成した試料の窒素含有量をX線光電子分光法(XPS)で測定した結果、窒素の割合は1.0~2.5at%であり、窒素含有量は使用したCu源の濃度に応じて変化した。合成したカーボン材料を正極材に用いてLi空気電池を構築し、その充放電試験を行った。Cu含有量が最小の時に放電電圧が最も高く,Cu含有量の増加に伴い放電電圧が低下した。また,放電容量の大きさは、Cu含有量が中程度の時に最も大きく、その値は約3700 mAh/gであった。この結果から、作製したマクロポーラスカーボン材料はLi空気電池として作動することを明らかにした。 また、溶液中のプラズマを用いてNあるいはPを含んだポーラスカーボン材料を合成する技術開発を行った。窒素源としてN-メチル-2-ピロリジノンを、P源として50%フィチン(Phy)酸溶液を用いた。合成したカーボン材料はORRに対する触媒性を示した。 DESの開発では、硝酸リチウムとN-メチルアセトアミドを特定のモル比率で混合し,深共晶溶媒を得た。その深共晶溶媒の各種物性値(粘性、難燃性、溶液抵抗等)の測定を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポーラスカーボン系材料の正極触媒材料の開発およびDESを利用した電解液の探索を行い、当初に予定していた研究計画を順調に進められた。合成したポーラスカーボン材料はCoとNを含んでおり、酸素還元反応に対する触媒性を示した。また、硝酸リチウム(LiNO3)とN-メチルアセトアミドの組み合わせで作成したDESの電解液としての物性値を明らかにできた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ソリューションプラズマ(SP)を含む液相プロセスにより、異種元素ドープポーラスカーボン・酸化物系複合材料の合成手法の確立を進める。また、窒素やリン等の異種元素を同時にドープしたカーボン材料の合成も行う。DESに関しては、触媒機能を 発現するものを探索するとともに、その触媒能の発現メカニズムの解明をめざす。さらに、触媒能を示すDESのイオン伝導性、粘性、電位窓、熱的安定性等の特性を計測する。
|