研究課題/領域番号 |
21K18867
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 宜昭 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00432518)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
量子もつれ状態とは、全体の量子状態が部分系の量子状態の積で表せない状態である。量子もつれ状態にある2つのスピンは、その距離がどれだけ離れていても相関が保たれる。このような非局所相関の存在は量子力学の最も驚くべき帰結である。量子もつれは基本問題として重要であるだけなく、量子通信や量子コンピュータ-への応用にも期待されている。今回、固体に吸着した2つの原子の化学結合を開裂させて、量子もつれ状態を生成できることを検証する。原子間力顕微鏡を用いて、針先端の原子と表面の原子を化学結合させ、それを開裂することによって、量子もつれを生成する。
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研究成果の概要 |
化学結合の開裂による量子もつれの検出のために、固体表面の個々の原子が有する単一スピンにアクセスすることが必要である。表面に物理吸着した酸素分子のスピン状態を酸素分子の配列から明らかにする研究を行った。表面と相互作用が強い配列と弱い配列に分類することができることがわかり、酸素分子の最短距離から反強磁性的な秩序が示唆された。さらに、シリコン原子が持つ不対電子にも着目し、シリコン単結晶とは異なる結合角度を持つシリコン原子が安定に存在できることを確かめた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
シリコンは現在の半導体技術の中核を担う重要な物質である。ありふれた材料であるシリコンでも表面構造を工夫する余地があることがわかった。シリコンの単層膜を利用することによって、シリコンの単結晶とは異なる活性度を有するシリコン原子を表面に配列することができることが判明した。今後、シリコンの高次な表面構造や低次元性を活かしたデバイスへ展開できる可能性がある。原子間力顕微鏡による原子レベルの高分解能観察と化学状態分析の機能自体も様々な用途に波及していくと考えられる。
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