研究課題/領域番号 |
21K18914
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大久保 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30635800)
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研究分担者 |
岩國 加奈 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教 (80837047)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | モード同期レーザー / ファイバーレーザー / デュアルコムレーザー / 光周波数コム / 偏光計測 / オフセット周波数 |
研究開始時の研究の概要 |
物理研究において測定される物理量のうち、最も高精度に測定可能な量は周波数であり、言い換えると、周波数で測定すれば評価したい物理量を高精度に測定できるということである。本研究では、偏光状態を周波数計測に落とし込むという新しい発想に基づく高精度な偏光計測手法を提案・検証する。具体的には、偏波保持ファイバーで構成される光コムの横偏光状態と縦偏光状態の両方で同時にモード同期し、各偏光状態のキャリアエンベロープオフセット周波数をそれぞれ計測する。オフセット周波数に偏光状態が反映されることを利用して、高精度・高感度に偏光状態を測定する。
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研究実績の概要 |
キャリアエンベロープオフセット周波数差を用いた偏光状態の計測を検証するために、偏波多重・ゲイン媒質共有タイプの偏波保持型デュアルコムレーザーを開発した。偏波間の残留クロストークの影響を調べるため、モード同期の再現性、レーザーの相対強度雑音、繰り返し周波数の位相雑音を測定した。その結果、モード同期の再現性は高く、繰り返し周波数の位相雑音は、シングルコム動作時と同等で十分に小さいことが確認された。一方で、強度雑音パワースペクトル密度には、2つのモード同期の繰り返し周波数の差周波数(100 kHz前後)とその高調波に相当する周波数に鋭いノイズピーク(-90 dB/Hzから-100 dB/Hz程度)が観測された。このような偏波多重・ゲイン媒質共有型の特性をまとめ、論文として投稿した。
偏波多重・ゲイン媒質共有型は強度雑音が大きいため、機械共有型の偏波保持型デュアルコムレーザーに切り替えて製作を進めている。2つの光コムの特性が可能な限り揃うような工夫を盛り込み、オフセット周波数検出とオフセット周波数差を用いた偏光計測を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに開発した偏波多重・ゲイン媒質共有タイプの非線形増幅ループミラー(NALM)型デュアルコムレーザーについて、偏波間クロストークの影響を詳しく調べた。モード同期は再現性良く実現でき、繰り返し周波数信号の位相雑音はシングルコム発振の場合と同等で十分に小さかった。一方、レーザーの強度雑音の周波数特性を測定したところ、2つのモード同期の繰り返し周波数の差(100 kHz前後)とその高調波に相当する周波数に鋭いノイズピークが観測された。この強度雑音は、光エッジフィルタを用いて2つのモード同期の発振波長が重ならないようにした場合にも減少しなかった。これら開発したデュアルコムレーザーの性質について、論文にまとめ投稿した。
偏波多重・ゲイン媒質共有タイプのNALM型デュアルコムレーザーの偏波間クロストークの影響が取り除けないため、機械共有型デュアルコムレーザーの製作を開始した。現在までに1つ目の光コムのモード同期を実現している。
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今後の研究の推進方策 |
機械共有型デュアルコムレーザーの開発を進める。可能な限り2つの光コムの特性が揃うように、レーザー共振器は同一の構成とし、励起レーザーの共有、温度環境の共有、オプトメカニクスの共有を盛り込む。fCEO信号を検出した後、2つの光コムのfCEOの相対安定度を評価した上で、fCEOの差を用いた偏光計測の実証実験を行う。
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