研究課題/領域番号 |
21K19071
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田岡 東 金沢大学, 生命理工学系, 教授 (20401888)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 磁性細菌 / 鉄循環 / 微生物生態 / 生物間相互作用 / 磁気感知 / 細菌 / 原生生物 / 磁鉄鉱 / 環境細菌 / バイオミネラリゼーション / 微生物生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、水圏生態系の鉄循環における磁性細菌の役割を評価し、生態系への貢献を検証することを目的とする。鉄は、生命活動に必須の元素であるが、食物網において鉄循環を支えている微生物実態はよく分かっていない。本研究では、磁性細菌と真核微生物の生物間相互作用の実態を明らかにするため、磁性細菌を摂餌する微生物群集(=磁性細菌食者)を同定する。また、磁性細菌の微生物による捕食が環境中の鉄の存在状態や濃度、同じ環境で生息する微生物群集へ及ぼす影響を評価する。
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研究成果の概要 |
水環境に広く偏在する磁性細菌は、細胞内に一般的な細菌の百~千倍程度の鉄を含む。本研究では磁性細菌の微生物生態系における鉄の供給者として役割を検証した。まず、磁性細菌M. magneticum AMB-1が原生生物に捕食された際に細胞内外のFe2+濃度が上昇することがわかった。また、淡水池において磁性細菌を捕食する原生生物を同定したところColeps属の繊毛虫が磁性細菌捕食者であった。さらに、磁性細菌捕食の淡水池の微生物組成への影響を調べたところ、磁性細菌捕食に特異的に増加する細菌種を確認した。本研究では、磁性細菌と真核微生物の生物間相互作用が環境中の鉄の存在状態や微生物群集への影響を評価した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の研究成果から、海洋や湖沼などの水環境には多くの磁性細菌が生育しており、環境中の鉄を細胞内に濃集し生態系での鉄循環に重要な役割が期待されるが、磁性細菌が生態系で果たす意義は検討されてこなかった。本研究では、環境中での磁性細菌と真核微生物との被食捕食関係が、環境中の鉄の存在状態や同じニッチで生息する生物群集に及ぼす影響を初めて評価した。本研究の成果は、鉄供給者としての磁性細菌が貢献することを実証したもので、生態系の物質循環における細菌の新たな役割を提案した。本研究は、生態系の保全や制御方法を検討するための基礎知識として学術的社会的な意義がある。
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