研究課題
挑戦的研究(萌芽)
菌類ウイルス学は基礎微生物学に大きく貢献しており、ウイルスを利用した悪玉糸状菌の生物防除などへの応用展開も期待されている。しかし、動物/植物ウイルスの領域に比べ、菌類では有効なウイルス実験系は整備されておらず、宿主の遺伝学・遺伝子操作系の基盤も脆弱である。代表者らは研究リソースや基盤技術が充実したモデル生物・アカパンカビに注目し、世界に先駈けてウイルスの探索・発見を進めてきている。そこで、本課題ではアカパンカビを用いウイルス-宿主相互作用を迅速、網羅的に解析できる実験プラットフォームの構築を進める。これにより、菌類ウイルス学の応用展開を飛躍的に発展させるためのシーズが得られると期待される。
菌類ウイルス学は基礎ウイルス学において大きな貢献をしてきた。しかし、動物や植物のウイルス研究分野と比較すると、菌類では宿主とウイルスの相互作用やウイルス学の研究を推進するために有効なモデル実験宿主系が限られている。本研究では、遺伝学と分子生物学のモデル生物でもある糸状菌アカパンカビに注目して、菌類ウイルスの多様性解析や宿主ウイルス免疫機構の研究が可能である事を示した。特に、菌類の抗ウイルス機構に関わる重要な転写制御機構と関与する宿主因子の同定も可能であることも証明された。我々の一連の研究により、アカパンカビが菌類ウイルス学の基礎や応用研究を進めるために、有望なモデル系であることが確認された。
菌類ウイルス学はウイルス多様性の再認識、新規遺伝子発現様式・粒子構造の発見に繋がり、基礎微生物学に貢献してきた。さらに、ウイルスを利用した悪玉菌の生物防除や有用菌への形質付与や育種技術への応用展開も期待されている。本研究では、モデル糸状菌であるアカパンカビが菌類ウイルス学を展開可能な実験系であること確認された。特に、既存のクリ胴枯病菌モデルウイルス実験系では到達できなかった、菌類の抗ウイルス免疫を惹起する転写亢進機構の背景を明らかにできたことは、アカパンカビウイルス実験系の重要性や将来性を示唆しており、菌類ウイルス学のさらなる発展に寄与できると期待される。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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