研究課題/領域番号 |
21K19128
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
門田 康弘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80548975)
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研究分担者 |
野中 聡子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50580825)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 植物免疫 / PAMP / 形質転換 / MAMP / 遺伝子組み換え |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではアグロバクテリウムをステルス化して植物による認識を回避させる技術を確立する。まず、アグロバクテリウムからタンパク質性のMAMPsを同定する。そして、MAMPsを改変したり、植物によるMAMPsの認識を阻害するペプチドを設計して処理することで、植物による認識を回避させる。この技術の確立ができれば、アグロバクテリウム法を必要とする研究手法、及び育種技術が効率化できる。さらに、宿主範囲を広げられれば、非宿主植物にも遺伝子機能解析が可能となり、遺伝子組換植物の作成、及びゲノム編集による育種が可能となる。
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研究実績の概要 |
植物は病原体由来のPAMPs (pathogen-associated molecular patterns)と総称される物質を細胞膜上のPAMP容体を介して認識して免疫反応を誘導する。植物によるPAMPの認識と誘導される免疫反応はアグロバクテリウムの形質転換を阻む要因の一つであることが分かっている。そこで、本研究ではアグロバクテリウム由来のPAMPと植物による認識機構を理解するため、生化学的アプローチにより、アグロバクテリウムの新規PAMPsの探索を進めている。本年はアグロバクテリウムの培養上清を調べたところ、シロイヌナズナに防御応答を誘導するPAMP活性成分があることを発見した。この活性は、植物のアポプラストの栄養条件に比較的近いAB培地で培養した時に強く、さらに植物の合成するフェノール化合物であるアセトシリンゴンを処理すると活性が強くなることが分かった。イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過カラム等、様々なクロマトグラフィーカラムにより精製を行ったところ、214 nm付近に吸光度の単一ピークを持つPAMP候補物質を含む画分を得ることができた。現在、このPAMP候補物質の同定を目指して解析を行っている。 また、植物のPAMP受容体として機能する候補因子をIn silico解析により300種の植物のゲノムデータより絞り込み、そのPAMP認識部位の保存性を元に、同じPAMPを認識する因子をグループ化した。今後、これらPAMP受容体候補因子から、アグロバクテリウムを認識する受容体を探索していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アグロバクテリウムの培養上清にPAMP活性成分があることを見つけ、PAMP候補物質同定への糸口をつかんだ。また、In silico解析により300種の植物のゲノムデータより、PAMP受容体として機能する候補因子を絞り込み、そのPAMP認識部位の保存性を元に、同じPAMPを認識するグループを100以上見つけた。よって、計画は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きアグロバクテリウムの培養上清に存在するPAMP候補物質の同定を試みる。さらに、植物のPAMP受容体として機能する候補因子をIn silico解析により300種の植物のゲノムデータより絞り込んでいる。そこで、この中からアグロバクテリウムの感染を認識するものをスクリーニングし、新規免疫受容体の同定を目指す。
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