研究課題/領域番号 |
21K19139
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
加藤 豪司 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50624219)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 魚病学 / 魚類免疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
ノカルジア症は、国内の養殖で最も被害額の大きな感染症の一つである。本感染症に対するワクチンは実用化されておらず、有効な予防法はない。近年、医療現場ではγ線照射不活化技術が注目されている。γ線照射による細菌の不活化技術では、染色体DNAが破壊されて病原体は増殖不能となるが、タンパク質などの生体分子は影響を受けにくいため代謝活性は一定期間保持される。そのため、γ線照射不活化ワクチンは宿主体内で細胞性免疫応答を誘導できる。そこで、本研究では、ブリ属魚類のノカルジア症に対するγ線照射不活化ワクチンの開発を行う。
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研究実績の概要 |
ブリ属魚類で発生するノカルジア症は、国内の養殖で最も被害額の大きな感染症の一つである。原因菌であるNocardia seriolaeは宿主の細胞内で増殖するため、細胞内部まで浸透しにくい抗生物質・合成抗菌剤では本症の治療は難しい。さらに、細胞内に寄生するN. seriolaeには抗体がアクセスできないため、抗体の産生を促進するホルマリン不活化ワクチンではノカルジア症を予防することはできない。γ線照射不活化では染色体DNAが破壊されて病原体は増殖不能となるが、タンパク質などの生体分子は影響を受けにくいため病原体の代謝活性は一定期間保持される。そのため、γ線照射不活化ワクチンは宿主体内で感染を疑似的に再現することができ、細胞性免疫応答を誘導できる。そこで、本研究では、ブリ属魚類のノカルジア症に対するγ線照射不活化ワクチンの開発を目的とし、γ線照射によるN. seriolaeの不活化条件の検討およびγ線照射N. seriolae不活化菌体のノカルジア症に対する感染防御効果を検討する。γ線照射後に各処理群の菌体を1%小川培地に接種したところ、未処理菌、5 kGy照射区および10 kGy照射区では、培養14日後においてコロニーの生育が確認されたが、20 kGyおよび30 kGy照射区ではコロニーは確認されなかった。そこで、不活化の確認できた20 kGy、30 kGy、HKC、PBSおよび未処理菌をギンブナに接種したところ、未処理菌接種区でのみ死亡が認められたが、その他の試験区では28日後までに死亡はみられず、外観症状もみられなかった。再攻撃試験では、PBSおよびHKC試験区の最終的な累積死亡率に対し、20 kGyおよび30 kGy区ではそれぞれ統計的優位に低い値となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、最近のγ線不活化が順調に進み、不活化条件を予想よりも早く明らかにすることができた。そこで、モデル魚としてギンブナを使用して、γ線照射不活化菌体の病原性試験、ワクチン投与および再攻撃試験を実施することがでた。また、結果としてある程度の感染防御効果を確認することができたため、現在本手法によるワクチン開発技法の特許を申請している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度モデル魚としてギンブナを用いた実験を行ったが、今年度はブリおよびカンパチを使用した病原性試験、ワクチン試験、再攻撃試験を実施する予定である。また、本年度中の早い時期に特許の申請を終えたいと考えている。
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