研究課題/領域番号 |
21K19155
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
直江 将司 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80732247)
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研究分担者 |
柴田 銃江 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10343807)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 同位体 / 種子散布 / 気象要因 / 過去 / 長距離散布 / 風散布 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、種子の酸素同位体比に影響する気象要因を特定することで、過去の長距離種子散布の評価を可能にすることを目的としている。長距離の種子散布は植物の分布拡大や温暖化・寒冷化に対応した移動などに大きな役割を果たしている。本研究では、種子の酸素同位体比を利用した長距離散布の評価手法を発展させることで、過去の長距離散布が評価できる手法を開発する。この手法を用いて記録的な長距離散布の検出に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、種子の酸素同位体比を利用した長距離散布の評価手法を発展させることで、過去の長距離散布が評価できる手法を開発する。具体的には種子の酸素同位体比と気象条件(気温・降水量など)との関係を解明することで、過去の気象データと過去に採取された散布種子の同位体分析から過去の種子散布距離の推定を可能にする。この手法を用いて記録的な長距離散布の検出に挑戦する。記録的な長距離散布は稀に発生する大規模な気象イベントなどに付随して起こることが予想されるため、過去の記録的な台風が風散布樹木の種子をどこまで遠くに運んだかを評価する。
今年度は過去に試験地(茨城県北茨城市の小川試験地)で採取された種子散布のデータベース整理を進め、風散布樹木のアカシデとミズメについては過去20年以上の種子の同位体分析が可能になった。このうちアカシデについては実際に酸素同位体分析を行った。その結果、種子の酸素同位体比は同年に採取されたものは類似した値を示すことがわかった。一方で、種子の採取年によって酸素同位体比は大きく変動していた。この結果は種子の酸素同位体比が気象条件によって年変動することを示唆している。 また、種子の酸素同位体比と気温・降水量との関係を解析する際の調査年数を出来るだけ増やすため、調査地において代表的な周食散布樹木であるカスミザクラとミズキ、また貯食散布樹木であるコナラ、ミズナラ、ブナ、風散布樹木であるオオモミジ、アカシデ、ミズメについて種子の追加サンプリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
種子の酸素同位体比が年変動を示すことを明らかにできた一方で、年変動をもたらすと予想される気象要因の特定には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
種子の酸素同位体比と気温・降水量との関係を解析する際の調査年数を出来るだけ増やすため、引き続き現地に出張し種子の追加採集を行う。また継続して種子の酸素同位体分析を進める。
種子の酸素同位体比と種子形成期(開花終了から種子成熟まで)の気温・降水量の関係を解析し、種子の酸素同位体比に影響する気象要因を特定する。気象要因の特定に成功した場合は、過去の気象また散布種子の酸素同位体比を用いて過去の種子散布の再現に挑戦する。
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